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「本番前のハラゴシラエ」

テリヤキバーガーを頬張りながら
フライドポテトも詰め込む
それを炭酸飲料で流し込む

なんでこんなに美味しいのだろう
テリヤキバーガーをペロッと食べ終わると
もう一つ購入したハンバーガーを
休みなしに頬張る

ピクルスの食感と味がたまらなくて
シンプルなハンバーガーは外せない

LIVE前にここまで食べ過ぎるのは
どうかと思ったが、いざ目の前にしたら
手と口が止まらなかった

ものの5分でトレイの上には
包みの袋とあと少し入った
炭酸飲料があるだけになった

「曲順変えなくていいよね?」

珍しくシンセ担当の女の子が呟く

LIVEの尺は30分
俺達は6曲演奏する事になっていた
大体20数分程で、MC入れたら
この曲数になった

と言ってもこの時の
持ち曲は8曲だけで
残りの2曲はそんなに練習も
してなかった
だから6曲にしたと言って
良いかも知れない

「ラスト、バラードにしない?」

ドラムが呟いてそのまま続ける

「盛り上がりそうな曲にしてるけど、あの曲の方がみんな知ってそうだし、グッと来てラストっぽくて良いんじゃないかな?どう?」

なるほど
中盤にバラードをするつもりだったが
それは適当に決めただけだったので
曲の認知度からいくとバラードが
最も良い選曲で、印象に残る
ラストを飾るかもしれない

みんなもそう思ったようで
ラストはバラードに変更という事で決まった

このバラードはシンセの見せ場もあったし
現在でも、それで良かったなと思う

ふと右手にはめた時計に目をやると
開演まで約1時間
あっという間に時間は過ぎて
本番はすぐそこまで来ていた

俺が時計を見た少し後に
ギターの1人が
「少しソロんとこ練習したいからさ、戻らない?」
と、みんなの顔を伺いながら言った

みんなも、そうしようと
トレイのゴミを集めて
立ち上がる
いくぞー
俺は仲間に言い放つと

「ジャンケン、ポン!」

と、※ゴミをまとめて1人が
片付けるジャンケンをした

ジャンケンに見事負けた俺は
炭酸飲料を一気に飲み干し
集めたゴミをダストボックスへ捨て
重ねた6つのトレイを返した

大体こういうのって最初に
やるぞー的に言ったやつが
負けるような気がしてならない
何故だろう
そんなどうでも良い事を思いながら
すでに外に出ていた
メンバーの後を追う

自動ドアが開いた先で
こちらを見るみんなの眼差しは
すごく輝いていて
気迫みたいなモノも感じた

俺が追い付くと揃って
ライブハウスへと
歩き始めた

上手く行くといいなー
LIVEやるって誘った人達来るかな?
他にもお客さん来るのかな?
なんかいろいろ気になってきたな

そうやってボーッと考え事をしながら
歩いていた俺の背中を
最後尾にいたシンセの女の子が
ポンと叩いてきて
背中越しに小さな声でささやく

「がんばろうね」

俺は振り返り

満面の笑みで返した

「本番前のハラゴシラエ」
終わりのある物語4 ~過去~   つづく。

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相変わらず拙い文章力と表現ですが
第4話ご覧下さりありがとうございます。

前話のいいねを下さった方
ありがとうございます。
嬉しいです。

※ゴミをまとめて1人が片付けるジャンケン
面倒なことをじゃんけんにより、誰か1人にしてもらう事で、嬉しく且つ楽だね、という思いだけからくる単純心理の学生の頃にした遊び。じゃんけんという公平さはあるが、もちろん負けた時は悔しい。


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