童話『ボクら』

 ボクはクラスでもとうめいにんげんなのかなとおもってます。
 サヨちゃんみたいにかわいくないし、タケシくんみたいに足もはやくないし、ケンゴみたいにつよくもないし、アキラくんみたいにかしこくもないんです。
 なんにもないんだなぁといつもかなしくなってしまいます。
 このままじゃあほんとうにきえてしまうんじゃないかなとしんぱいになってしまいました。
 お母さんにそうだんしてもとうめいにんげんなんていないのよといわれただけです。
なんにもボクの気持ちがわかってないんです。
 ボクは神さまにいのってねむりました。
 とうめいにんげんにだけはしないでくださいって。

つぎの日、学校にいくとおかしなことになっていました。
 クラス中がボクのドッペルゲンガーになってしまっていたんです。
サヨちゃんもタケシくんもケンゴもアキラくんもみんなボクなんです。
 みんなボクの顔と体になってしまいました。

「こまるよ!ボクがうすまるじゃないか!」
「逆だよ。こくなるんだよ」

 ボクらは笑いながらいってきました。

とうめいにんげんにはならなかったけど、これじゃああんまりです。

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