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6月14日 15兆円とも言われる認知症の社会コストをどう低減できるか?

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。

→認知症。以前は痴呆と呼ばれるなどそもそもの理解がされていなかったが、だいぶ解明されているようだ。治療薬で一気に解決、ということでもないだろう。メディテックなどで予防も含めた対策は何か考えられないだろうか?


認知症予防に関する諸分野の科学的研究の進歩発展を図る日本認知症予防学会が制定した「認知症予防の日」です。
日付は認知症の大きな原因であるアルツハイマー病を発見したドイツの医学者・精神科医アロイス・アルツハイマー博士(1864~1915年)の誕生日から。

認知症。
先日、エーザイが認知症薬を日米欧で申請するというニュースがありました。

同社はすでに1種類の認可を得ていますが、保険適用から除外されるなどして早期の収益化が見込めないことから減損処理をしています。


そもそも認知症とはどういった病気なのでしょうか?
医療系の情報なので、厚生労働省のHPからそのまま引用します。

認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。次いで多い血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によっておきる認知症です。


このように、認知症、と言っても、原因は様々であることが分かります。厚生労働省「認知症施策の総合的な推進について」の認知症の主な原因疾患(下図)を見ると、67.6%はアルツハイマー病であることが分かります。次に多い血管性認知症は19.5%であり、この2つでほぼ9割近くを占めるています。


認知症の症状というと物忘れ、と思いますが、実は複雑なようです。


現時点で認知症は600万人を超え、高齢者の18.0%を占めると推計されており、高齢者の増加に伴って人数が増えるだけでなく、その割合も上昇していくと推計されています。(出典:厚生労働省資料を元に三菱UFJ信託銀行作成)。

やはり加齢に伴い認知症となる割合は増加するようで、年齢別では80歳代になると2割をこえ85歳以上には半数を超える方が認知症と推定されます(出典:)。

認知症になってしまった場合、どれくらいの費用がかかるものなのでしょうか?

東京都医学総合研究所の中西三春氏らが「Journal of Alzheimer's Disease」で報告した内容によると、アルツハイマー型認知症の医療・介護にかかる社会的費用は当事者1人あたり月に平均22万4,584円となっています。

社会的費用、ですので、いわゆる直接的に負担すべき費用以外にも様々なものが入っています。

内訳(註)は以下の通り。
☑️ 当事者の医療費:2万6,744円
☑️ 当事者の社会的介護費用:6万9,179円
☑️ 介護者のインフォーマルケア費用:12万8,661円

当然、重症度によって異なり、
☑️ 軽度:15万8,454円
☑️ 中等度:21万1,301円
☑️ 重度:29万4,224円
でした。

(註)
1.当事者の医療費=外来、入院医療費と薬剤費

2.当事者の社会的介護費用=介護サービス費、家屋の改築、消耗品など

3.介護者のインフォーマルケア費用=介護に要する時間や欠勤などによる労働損失を含む

さらに、社会的コストの試算もご紹介します。慶應義塾大学医学部精神神経科学教室専任講師佐渡充洋氏の「日本における認知症の社会的コスト」によると、2014年時点の認知症の社会的コストは14.5兆円。内訳は以下の通り。
☑️ 医療費:1.9兆円
☑️ 介護保険費:6.4兆円
☑️ 家族等によるインフォーマルケアコスト:6.2兆円

将来推計では、2025年には19.4兆円、2055年には24.3兆円と大変な金額であることが分かります。



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