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11月10日 エレベーター国内メーカー、技術はすごいが世界市場では存在感薄く

視野を広げたい、が、どうしても自分が携わっている仕事中心になってしまう…
そんな問題意識をお持ちの方に、その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。普段の仕事や興味の範囲を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


日本エレベーター協会が1979年(昭和54年)に制定した、「エレベーターの日」、です。1890年(明治23年)のこの日に東京浅草の「凌雲閣」に設置された日本初の電動式エレベーターが一般公開されたことに因んでのものです。

さて、エレベーター。今回調べてみて面白い市場です。

まず、国内では日本企業のシェアが圧倒的な一方で、グローバルでは存在感がありません。そして、売り切りのビジネスではなく、メンテナンスで稼ぐビジネスモデルです。最後に、世界では成長マーケットですが、国内は横ばいです。

国内のエレベーター市場のシェアは、三菱電機、日立製作所、東芝の3社で7割を占め、日本オーチスとフジテックを加えた5社で9割を占める寡占市場です。
また、保守についてはもこの大手5社で8割となっています。

ご想像の通り、新設の際には利益率を落としても受注し、その後利益率の高い保守で稼ぐ、というビジネスモデルです。
この保守市場にはメーカー系でない、どのメーカーでも保守を行う独立系の企業も存在します。近年ではコスト意識の高まりから徐々にシェアを伸ばしています。

世界で見るとシェアの構図は全く異なり、1位アメリカのオーチス、2位スイスのシンドラー、3位がドイツのティッセンクルップ、4位がフィンランドのコネといったところ(順位は2016年頃なので変動があるかと思います)が10ー15%前後のシェアを持っています。日本社はその後に三菱などがかろうじて1桁%です。おそらく今は中国系のメーカーが上位に入っているかも知れません。

市場規模は、日本は3万台、2,000億円弱で横ばいの完全成熟市場。一方、世界は100万台超、1.8兆円規模で2025年には135万台、2兆円まで成長が見込まれてる成長市場です(出典:平成29年度製造基盤技術実態等調査事業)。

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この数字は新設であり、その数倍のメンテナンスの市場を考えるとこの5、6倍の市場があると考えられます。

日本メーカーは高速、安定稼働に強みがありますが、超高層ビルなどでは需要がありますが、通常のビルに関しては、普通に動けばいい、というのがニーズの大半であり、かつ、差別化が難しいことから、価格競争になりがちです。典型的な日本企業の「技術には強いけど、いくら良い物でも、メインのニーズに応えられておらず、世界市場では劣勢を強いられる」というパターンですね。

→なぜ日本市場では日本メーカーが寡占なのか?日本メーカーが海外でシェアを伸ばすとしたらどんな方法があるだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございます。
過去の投稿は以下にまとめていますので頭の体操ネタに覗いていただければ幸いです。



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