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#105 「PDCA」が「PD」「PD」…になる理由と対策

PDCA。よく聞きますし、よく使う言葉です。
一方で、PDCAって「P」を頑張って作って「よし!これでいくぞ!」
そして「D」に移るものの、その後については音信不通…というケースがあります。
そうなってしまう理由と対策をメモ。


1、そもそもPDCAサイクルとは?

PDCAサイクルについて調べると、

Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の頭文字を取ったもので、1950年代、品質管理の父といわれるW・エドワーズ・デミングが提唱したフレームワークです。

というような内容が出てきます。

が、よくよく調べてみると、もともとデミングさんが提唱したプロセスは、①設計、②製造、③販売、④調査・サービス、というように、今のPDCAプロセスとはだいぶ違います。
あくまで工場などで製品を作ることを想定したプロセスになっていたのです。

それがよく分かる、1950年にデミングさんが日本で講演した際の発言を以下に引用します。

(設計、製造、販売、調査・サービスという)「車輪の四つの段階はつぎつぎと連なって初めもなく終わりもないということが、最も大切なことであります。これが私が円をえがいた理由です。製品の設計とか、その試験を中止してはなりません。あなた方は、あなた方の製品が実際に市場に出て、それが人々にどういう風に役立ち、また購買者はその製品について、どう思っているかということを究明した後、再設計をします。品質管理は、永久に終りがありません。」

当時は、作ったら検品して、合格したものを出荷(販売)する、というのが主流の考えでした。そこに、販売後の調査・サービスを入れ、そこで把握した問題を設計にフィードバックする、というサイクルを提唱したのです。当時としては画期的だったことが分かります。

それを日本の研究者たちが咀嚼し、定着したのが今のPDCAサイクルです。


2、PDCAサイクルで一番重要なのは?

提唱者のデミングさんの言葉の、

「車輪の四つの段階はつぎつぎと連なって初めもなく終わりもないということが、最も大切なこと」

の通り、PDCAでは「サイクル」が一番重要なのです。

なのに、「PD」「PD」…では全く意味がないですね。


3、なぜ、「PD」「PD」…になってしまうのか?

最も大きい原因は、「P」と「C」との時間的な間隔が開きすぎていることです。

「C」で測定・評価の上、検証しようとしても、「P」と違いがあった理由が、「D」の問題なのか、「P」の前提としていた外部環境が変わってしまったからなのかが分からず、有効な検証が成り立たない、ということです。

「D」の担い手としては、自分のせいで「P」が達成できなかったとは認めたくない訳で、全力でその他の要因(外部環境の変化等)を挙げてきます。

となると、結局、検証もうやむやのまま、次の「P」の作成に取り掛かることになり、「PD」「PD」…となってしまうのです。


4、対策は?

まず、そもそも何のためにPDCAサイクルを回すのか、その目的を改めて考えてみることです。よくあるのは「ずっとやってきているから…」というものです。思い切って見直してもいいかもしれません。

いや、やはりPDCAが必要だ、という場合、以下3つを試してみることをお勧めします。

☑️「C」のやり方と責任者を明確に決める
☑️「C」までの間隔を今の半分にする
☑️ 本当に検証したいことに対象を絞る

まず、「C」の責任者ですが、各事業部門の担当役員レベルに設定すべきです。
当然ですが、「C」と「A」、それから「A」が次の「P」にどう反映されたかの確認までもセットです。

次に、「C」までの間隔を短くすることで、仮に外部環境を理由にしても、次のサイクルではそれを考慮したものになり、自分たちがコントロールできること、にフォーカスされたものになっていきます。

最後に、PDCAの対象が広過ぎることも関心が分散してしまい、うやむやで済ませてしまえる原因の一つですので、対象を絞るのも有効です。定着してきたら増やせば良いのです。

こうして、最も重要な「サイクル」が回るようにすることで、PDCAサイクル本来の大きな効果が得られます。


5、まとめ

PDCAサイクルについて改めて見てきました。

最も重要なのは「サイクル」です。止めることなく改善し続けること、ですね

そのためには、そもそもの目的を再度考えた上で、今より「C」の頻度を上げ、責任を明確にし、対象を絞ることをお勧めしました。

書店でもPDCAをタイトルに含む本はたくさんあります。
関心が高い一方、うまくいかない、なんとか使いこなしたい、という思いの方が多い証拠かな、とも感じます。
最近ではOODAループというものも出てきています。

単に流行りに乗るのではなく、それぞれの本来の趣旨や狙い、有効な対象などをきちんと理解して、使われるのではなく、使いこなしたいものです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

お役に立つことがあれば嬉しいです。


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