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#520 「ちょっと変わった館蔵品展」〜板橋区立美術館〜

明日まで開催の板橋区立美術館の企画展を見てきたので、メモ。


1、どんな内容?

1月8日まで開催している板橋区立美術館の以下の企画展です。

最初の館長によるごあいさつパネルが内容をよく表していますので以下一部を転記します。

板橋区立美術館(イタビ)では1979年の開館以来、さまざまな展覧会や講座、イベントを企画してきました。こうした活動を通して、イタビには作品や情報などたくさんのものが集まってきます。それらは美術館の中に堆積し、人と人とのつながりも含めてイタビの特色となってきました。(中略)
 今回の展覧会では、近現代と絵本の分野から収蔵作品や資料とともにエピソードなども公開してみることにしました。(以下略)

つまり、所蔵品展ではあるのですが、その作品や作家さんとのエピソードなども紹介します、というものです。


2、いくつかご紹介

小さな美術館ですから、じっくり見ても1時間ぐらいかと。
とはいえ収蔵品の3本柱である、江戸時代の絵画、池袋モンパルナス関係の近現代作品、絵本、のうち、後者2つは現在も現役で活躍している作家も多く、その作家との交流も板橋区立美術館の大切な財産となっていることが伺える、情報量が多い展示となっています。

例えば、同美術館では毎年「夏のアトリエ」という、絵本作家を講師とした5日間にも及ぶワークショップを開催していますが(海外からも参加希望者が来るそうです)、日本では「くっついた」などで有名な三浦太郎さんも講師として参加し、その後、企画展を行ったそうです。


そのほかに、世界的な絵本作家であるポール・コックスさんもコロナ禍となってしまいましたが、同美術館で回顧展を行っています。その際の様子は以下でご紹介しました。


また、現在活躍している作家との交流は、その製作過程を知れることでもあります。展示では、製作過程やそのこだわりが分かる展示があります。

こちらは、イタリアの絵本作家、ロベルト・インノチェンティのスケッチ(右)や色の確認をしたカード(上)等です。
原画展、などはありますが、ここまで細かい資料があるのは、「夏のアトリエ」の講師をお願いした際に、職人肌の彼が当時製作中であった絵本の製作過程が分かるものを全部持参して講義に使用したから、だそうです。


その他にも、1980年代に現代芸術家や画廊関係者たちが同美術館の学芸員を囲んで飲み会(?)を開いていたという話が紹介されていたり、交流のある海外の絵本作家から折々に美術館に届くイラスト付きのエアメールが展示されていたりと、いわゆる美術館に展示されている「作品」に加えて、美術館と作家、芸術家との交流という「財産」が展示、紹介されている企画展でした。

「飲み会(?)」のエピソード
海外の作家からのイラスト入りエアメール


3、まとめ(所感)

いかがでしたでしょうか?

また、終了間際の展(明日最終日…)覧会の紹介で申し訳ありません…

板橋区立美術館はご近所で、気軽に行けるのでついつい後回しになってしまうんですよねぇ(言い訳)。

ただ、初の区立美術館という歴史はダテではなく、さまざまな興味深い試みをしています。今回の企画展もその一つです。

特に印象に残ったのは、その中で紹介されていた「夏のアトリエ」など、全国の美術館でも珍しい取り組みの継続です。
美術館のワークショップというと、子供向けの工作教室みたいなものが大半ですが、この「夏のアトリエ」は5日間にも及ぶ本格的なもので、その参加者から実際にイラストレーターになったり絵本作家になったりしたケースもあるものです。

ちなみに子供向けのワークショップも、実際の芸術家や作家が講師を担当するのがイタビの特徴です。
ちょっと交通の便は悪いのですが、お子様がいらしゃれば内容を確認の上ご参加を検討されてても良いかと。
ちなみに、今回の展覧会では以下のような「がくぶちをつくろう」というもので、イラストレーターでデザイナーの前川明子さんが講師を務めています。


最後までお読みいただきありがとうございます。
明日には終わってしまう企画展のご紹介で恐縮ですが、どこかご参考になるところがあれば嬉しいです。

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