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現代俳句 作品集 29 〜雪〜


「 雪 」
~現代俳句〜

目に浮かぶ旅びとひとり芭蕉忌よ


陽の椅子にふかくもたれて十一月


あおぐたび山痩せてゆく木枯しか


じぶんまでばくぜんとして冬霧よ


水鳥は見あげたさきに飛び立つか


この星の変化のなかよ落ち葉焚き


立つけむりゆうぞらになれ落葉焚


大根煮湯気はふはふとあたたまれ


鳴くほどに星またたくかふゆの虫


つぎつぎと死のちんもくよ冬の虫

鉄道員ひとりひとりに降るゆきよ


あおぐ身に咲きつづけてよ雪の花


あおぐ嶺が風吹き下ろす朝焚き火


オートバイ冬夕焼けが染めて野よ


手の餌にくちばしいくつふゆの鳩


えだひろげ空き家の木々よ帰り花


マラソンのいちまんにんの白息よ


死見つめた眼鏡のこして波郷の忌


ゆきだるま本土見つめて立つ浜よ


点々とおおうなばらをイルカ跳ぶ

かがやきに降りだすゆきの金閣よ


しずかさに降りだすゆきの銀閣よ


のぞきこむかおうつるかに龍の玉


さわぎだす路上の落ち葉つむじ風


ふりあおぐ雲のたかさを降る雪よ


市役所よエレベーターのゆかに雪


雪だるまは仮りのすがたか日の光


夜の底を燃え立たせてよ火吹き棒


ひとつずつ名がかがやいて冬の星


おそるべき未知ひろがって冬銀河


11月12日〜11月27日


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