現代俳句 作品集 22 〜流灯会〜
「 流灯会 」
~現代俳句〜
待つひとよ泡つぎつぎとソーダ水
カーテンを昼からあけて夏季休暇
棒はじく皮のあつさよすいか割り
夜の闇深くするかにキャンプの火
一とはいわず湖畔のキャンプの火
れいぞうこ虚ろに冷えてゆく夜か
五重の塔音ひとつないひぐらしよ
たんざくの文字ざわめくか七夕竹
指さして星ものがたりたなばた竹
屋じょうよ町より近くあまのがわ
◇
朝顔よ明けたばかりのそらのいろ
テレビ塔そらにもしんと秋立つか
散ることよそらよりおもく桐一葉
横断歩道その先とおくひぐらしよ
刈るおとはひとつといわず竹の春
しずかさもおとのひとつか秋の滝
富士という残暑どしりと夕ぞらよ
祖父のせなか父のせなかよ盆用意
目に浮かぶかぞくいちぞく遠花火
ひらくたび路地くらくなる遠花火
◇
黙祷のそらのかなたのひぐらしよ
せんこうの火のちいささよ盆支度
ながめ見るかおは照らされ盆の月
迎火よ暮れてこの世のうつくしく
手あわせておもうことある墓参り
その若さかくしきれずよ盆おどり
とおのく灯わすれわすれず流灯会
大花火どどんとへいわつらぬけよ
しばらくは空見ているか花火あと
すずむしよ山ちかくあるものに山
8月3日〜8月15日
いつも
ご覧いただき
ありがとうございます
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