現代語俳句への旅 40 〜テント出て〜
「 テント出て 」
~現代語俳句集~
笛吹いて天にとどくかあきまつり
ふるさとはきえのこる灯よ秋の雨
あかるさよ京都しずかに紅葉して
絵を描いてつぎの秋またつぎの秋
ひととして暮れのこったか秋遍路
すみだ川みずのひかりの朝寒むか
既視感のなかにたたずみ赤とんぼ
生きてこそかずかぎりない草の花
とうきょうもひと粒の灯よ星月夜
国じゅうがこころやすめよ十三夜
◇
ふるさとか一歩ふみだすあきの風
日本のゆうぐれいろに秋刀魚焼く
いちぞくのれきしは口伝秋うちわ
たいへいの眠りさめずよことし酒
嶺みねよ摘んでもつんでも菊日和
むらじゅうの子を満腹に柿の木よ
故郷出て三じゅうねんがゆく秋よ
思いだす過去があかるい秋の陽よ
声さえもかわりゆく世ぞ焼き芋屋
神社にも灯ともさせてよ秋のあめ
◇
ハロウィンよ大地に感謝日に感謝
世界じゅう今宵満月ハロウィンよ
秋薔薇よちいさなレストランの夜
シャンデリア秋のひかりが燦々と
すっぱさのはての光のレモンこそ
さかえゆく港たくさんとんぼとぶ
わたり鳥からもこの窓よく見えて
基地と墓地となりあわせよ秋夕焼
見たいもの見えてくる都市秋の虹
四次元のさきを見つめてあまの川
◇
秀才は都市に集まりいちょう散る
めいじんのこのいっ手こそ秋日和
おおぞらにおおうなばらに秋の虹
ずっしりと秋ぞらを踏む綱わたり
秋の蝶地価上がったり下がったり
大泣きのむかしがあった赤とんぼ
文化の日笑いがあるということよ
テントでてまんてんの星虫のこえ
とびが舞う都市まんなかに大枯野
マンションも建って日差の十一月
いつも
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