現代俳句 作品集 21〜手花火〜
「 手花火 」
~現代俳句〜
来る河のながれは絶えず鮎がとぶ
透きとおることよいろ濃い水羊羹
蟻いっぴき葉のさきに立つ大自然
あおぎ見る顔かおかおに虹立つか
およぎ出てたいへいようを一望よ
生きてきた時代あかあか夕焼け空
そのおとも諸行無常のふうりんよ
こえがして月あるだけか青葉木菟
帰省して星夜しずかでにぎやかで
みずからを懐かしみつつ手花火よ
◇
ちんもくよてんとう虫が飛んだ空
あめんぼがひろげる波紋数しれず
山の坂のぼるほどによほととぎす
嶺々たかだか雲はるばるよお花畑
日々遠くなりゆくものは蝉しぐれ
ひとすじの包丁さばきうなぎ割く
火起こしよ土用の丑の日のうなぎ
火あがってなおもあおぐか土用鰻
灯となって空港の夜のすずしさよ
いちぞくの灯はちりぢりよ夏の月
◇
灯よ夜がなんど明けても夏の風邪
島じゅうの家沖むいてせみしぐれ
ふりまわしあうのが角よかぶと虫
蝉落ちて木々吹きぬける風のおと
羽抜け鶏夜ごとに満ちてゆく月よ
備長炭火を噴きがちようなぎの日
煎茶まで味わうこころうなぎの日
恋ごころほどのあかるさ手花火よ
ふと消えるものに自分と手花火と
茹で洗う水また水よ冷やそうめん
7月14日〜8月1日
いつも
ご覧いただき
ありがとうございます
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