現代俳句 作品集 38 〜今朝の夏〜
「 今朝の夏 」
~現代俳句〜
花なずな細ごま咲いてけなげさよ
のぼる坂目にもおおきなはるの月
亡くなって形見のようにはるの月
三輪車わがみちをゆくのどかさよ
プロペラの模型ひこうきはなつ春
はるばると頭上をこえてくもに鳥
草野球とおくながめてのどかさよ
いっせいに季節ふぶくか遅ざくら
時計台かげながながとはるのくれ
瀬戸大橋灯ごとおぼろよ波のおと
◇
靴のうら濡らし濡らさずはるの浜
焼きはまぐり次々殻があいて湯気
灯の下に洗ってわかめあおあおと
あけぼのもいつか夕暮れ春惜しむ
ぼかし絵のように富士山はるの月
こいのぼりのぼりゆくかに川風よ
こいのぼりよこいちれつよ重信川
まんげつをひとつ残して春ゆくか
城の屋根そりかえりつつ今朝の夏
木のぼりよ腕まくりして夏立つ日
◇
いっぽんのゆびとたわむれ風鈴よ
ちょうじょうの城ごと風の青葉山
芝に寝てこころすずしくくもの上
登山とは空をあるくということか
山おくになお奥あってほととぎす
顔だしてかっこう鳴くか枝のなか
竿ふって毛針舞わすよなつのかわ
水上バイクしぶきをあげて湾は夏
見て億千見つめてひとつなつの星
わかれきてその夜につるす風鈴よ
04月28日〜05月12日
いつも
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