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現代俳句 作品集 48 〜とんぼ〜
「 とんぼ 」
~現代俳句〜
ちいささよ夜ぞらあかるむ望の月
ねんねんにあかるくみえて名月よ
山やまをぐるりとうつすつゆの玉
大仏のむねのたかさをとんぼとぶ
五重の塔かげそのものの十六夜よ
仰ぐみなうしろすがたの十六夜よ
よその家のはしらにもたれ寝待月
しんしんとせまりくる絵よ美術展
ビルの影また富士の影あきのくれ
東京よ夜のはしばしにむしのこえ
◇
まっしろにかがやく露の仁和寺よ
日をのせて東寺の塔よあきのくれ
鑑真の目にまんげつのあかるさよ
さおさして舟も一葉か散るやなぎ
両岸のやなぎ散る日よふねのうえ
さいげつがゆたかにしだれ散る柳
あしもとよときおり秋のつむじ風
長良川千々のひかりのとんぼとぶ
跳びとんであの瀬この瀬に落鮎よ
ただなかにたたずんでこそ星月夜
◇
ゆく秋を味わいつつよコーヒー店
まちじゅうに紙垂のしろさよ秋祭
空でふと思案しながらとんぼとぶ
なんどでもほろぶ地球の露けさよ
ゆく人ようしろすがたは秋のくれ
暮れ残るもののひとつよ蜻蛉とぶ
あかとんぼ西の空ごと暮れゆくか
なみおとが暮れのこったか秋の浜
鳴きないて今がうつくしのこる虫
こおろぎよふるさとという夜の闇
10月01日〜10月13日
いつも
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ありがとうございます
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