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現代俳句 作品集 39 〜大夕焼〜


「 大夕焼 」
~現代俳句〜

たけのこよざわわざわわと竹の空


地上へと土もちあげるたけのこか


こいのぼり尾をふりつつよ川の上


川のなかあお揺らめいてラムネ瓶


母の日の鳩おおぞらをおりてこず


ざわめいて若葉の坂に木もれ日よ


夏の蝶かぜのながれのままに飛ぶ


草の香を踏みひろげては夏野行く


麦笛よふるさとわすれわすれられ


かいきょうをまたぐ大橋けさの虹

新茶くむ机辺木もれ日ゆらゆらと


青りんご影描くことがデッサンか


いちまいのすずしいあおよ太平洋


気力あるひとは長生き蚊をたたく


コンビニの誘蛾灯爆ぜ明けがたよ


黄の蕊のうずもれるまで牡丹咲く


かおあげてながれる汗の中に立つ


かたつむり這いゆくように晩学よ


じんるいの一歩あそこになつの月


だれひとりいない星空ベランダよ

◇ 

羽ひろげ鳩おりてくるふんすいよ


赤さとは甘さトマトにかじりつく


たいようへいくせんの穂よ麦の秋


あまがえるそらへすわって風雲よ


田舎には田舎のじかんかたつむり


草いちご古代のあまさあじわうか


どの田にもひとりふたりよ大夕焼


たいようはみずからを焼き大夕焼


ひきがえる鳴いてふるわす夜の闇


ほたる火のすうっと消えて星空よ


05月14日〜05月25日


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