現代俳句 作品集 13 〜さくら貝〜
「 さくら貝 」
~現代俳句集〜
とおぞらはひとえにとおく連凧よ
いつくしま神社に波よ春ゆうばえ
初ざくらすでに三分のあかるさよ
かおを出すいちにいさんよ燕の巣
軒下よひと寄せつけずつばめの巣
太陽がとおくにひとつものの芽よ
樹のしたよかさなりもせず落ち椿
ひと枝よ良く活けてよりうめの花
咲き満ちて桜のそらのちんもくよ
◇
はくちょうがのこしてかえる湖か
花人かまたふぶきだすそらのした
さいげつを波があらうかさくら貝
からっぽのつくえのこして卒業か
カメラマン時代を撮るか春まつり
せんそうかへいわかへいわ春祭り
きたぐににひびきはじめる滝か春
はるのあめ歩道橋にもしみ入るか
旅客機かはるゆうやけのそらに点
◇
山ざくらあおぎ見て空あおぎ見て
やどかりがおおきな目して砂の上
さくら貝波打ちぎわに手のひらに
暮れきらずはるゆうやけの天守閣
スカイツリーふぶく桜の上にこそ
はつざくら一代一代のひとびとが
あおぎみて花あおぎみてよしの山
はるのどろ侵攻の歩のとまるまで
卒業のえがおくらいぞあかるいぞ
◇
咲き散ってあと戻りなし花の句座
この桜日ざしとともにしだれるか
絮とばすたんぽぽいくつ城のあと
船旅よみなとみなとのはるかもめ
ぼろぼろの戦地にふるかはるの雪
大木とさくらふぶきのいちにちと
にっぽんの烏賊一つずつ花烏賊か
しら浜よあるともしれずさくら貝
この世まだ平和でもなし雪割り草
3月15日〜3月29日
発表日順
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