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現代俳句 作品集 35 〜花見〜


「 花見 」
~現代俳句〜

ぼんぼりよあかるくくらく飾り雛


流し雛うしろすがたであってこそ


うぐいすの空をひらいてゆく声よ


囀りというよろこびを聞いて立つ


つばめ来て全国晴れのあかるさよ


西行のおもいのこしのない忌こそ


この心千々に飛ばしてしゃぼん玉


ひとすじにひかる大河の雪解けよ


ばらばらのこえがひとつに夜の蛙


終着駅灯ということかおぼろの夜

目にうかぶ満開のそらはつざくら


ふぶくのは満月のころはつざくら


ひるがえる黒また白のつばめらよ


土かけて死ぬ死芽吹く死ものの種


五重の塔かげとして立つおぼろ月


あかるんで山また山のあさざくら


生きるとは目が覚めること百千鳥


ひとこえで峡谷晴れのうぐいすよ


ひろびろとみつばちのそら大高原


この星に朝来つづけてさえずるか

身のばして鳥さえずるかえだの先


雲に鳥ゆうばえぞらになってこそ


いくまんのつぼみ吉野の朝ざくら


ちょうじょうに道あつまるか山桜


花満ちていろさまざまのよしの山


はなふぶき仰いで一人はなふぶき


目ひらいて花目つむって花ふぶき


あしもとにしだれざくらの枝先よ


木の下をふぶききよめて花見あと


田蛙のこえにまたたくほしぞらよ


03月01日〜03月25日


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