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kohshi2812
現代俳句 作品集 35 〜花見〜
「 花見 」
~現代俳句〜
ぼんぼりよあかるくくらく飾り雛
流し雛うしろすがたであってこそ
うぐいすの空をひらいてゆく声よ
囀りというよろこびを聞いて立つ
つばめ来て全国晴れのあかるさよ
西行のおもいのこしのない忌こそ
この心千々に飛ばしてしゃぼん玉
ひとすじにひかる大河の雪解けよ
ばらばらのこえがひとつに夜の蛙
終着駅灯ということかおぼろの夜
◇
目にうかぶ満開のそらはつざくら
ふぶくのは満月のころはつざくら
ひるがえる黒また白のつばめらよ
土かけて死ぬ死芽吹く死ものの種
五重の塔かげとして立つおぼろ月
あかるんで山また山のあさざくら
生きるとは目が覚めること百千鳥
ひとこえで峡谷晴れのうぐいすよ
ひろびろとみつばちのそら大高原
この星に朝来つづけてさえずるか
◇
身のばして鳥さえずるかえだの先
雲に鳥ゆうばえぞらになってこそ
いくまんのつぼみ吉野の朝ざくら
ちょうじょうに道あつまるか山桜
花満ちていろさまざまのよしの山
はなふぶき仰いで一人はなふぶき
目ひらいて花目つむって花ふぶき
あしもとにしだれざくらの枝先よ
木の下をふぶききよめて花見あと
田蛙のこえにまたたくほしぞらよ
03月01日〜03月25日
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