現代俳句 作品集 50 〜冬あたたか〜 最終回
「 冬あたたか 」
~現代俳句〜
わたり鳥声さきだててあさぞらよ
さし上げてだれよりたかく秋神輿
木のえだに物見のからす秋まつり
いちねんをながめて立つか大刈田
一身を吹き抜けてよりあきかぜよ
すすき手に旅びと同士ちかよらず
一つついてせんねんのおと鐘の秋
ぐるぐると枝うねってよ松手入れ
ひとりずつちがうこころの観月よ
冷ややかようごかずのほし北極星
◇
飛鳥寺そのものの美よぶんかの日
古寺のそのままの美よぶんかの日
今年米とぐほどにみずきらきらと
飯盒よ噴きこぼれつつぶんかの日
杖のおと歩をきよめるか秋へんろ
さいげつのあまさしみじみ干柿よ
ゆうぞらよどこあおいでも渡り鳥
ことごとく視界のそとへ銀杏散る
ふける夜よ十にも満たずのこる虫
庭先よほしぞらじゅうに虫のこえ
◇
コーヒーのまめ挽くおとよ冬間近
黙々とちんもくひろうどんぐりよ
そそぐたび茶柱しんとふゆ立つか
写真館昭和そのものふゆあたたか
独白よさりさりと剥くふゆりんご
寒がらす黙つきつぎに飛びたつか
双眼鏡ただただ海よふゆあたたか
飼いぬしとひとつに犬よふゆの浜
お日さまとひとつこころよ大枯野
手のひらに黙にぎりしめふゆの土
10月29日〜11月11日
いつも
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ありがとうございます
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