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現代俳句 作品集 50 〜冬あたたか〜 最終回


「 冬あたたか 」
~現代俳句〜

わたり鳥声さきだててあさぞらよ


さし上げてだれよりたかく秋神輿


木のえだに物見のからす秋まつり


いちねんをながめて立つか大刈田


一身を吹き抜けてよりあきかぜよ


すすき手に旅びと同士ちかよらず


一つついてせんねんのおと鐘の秋


ぐるぐると枝うねってよ松手入れ


ひとりずつちがうこころの観月よ


冷ややかようごかずのほし北極星

飛鳥寺そのものの美よぶんかの日


古寺のそのままの美よぶんかの日


今年米とぐほどにみずきらきらと


飯盒よ噴きこぼれつつぶんかの日


杖のおと歩をきよめるか秋へんろ


さいげつのあまさしみじみ干柿よ


ゆうぞらよどこあおいでも渡り鳥


ことごとく視界のそとへ銀杏散る


ふける夜よ十にも満たずのこる虫


庭先よほしぞらじゅうに虫のこえ

コーヒーのまめ挽くおとよ冬間近


黙々とちんもくひろうどんぐりよ


そそぐたび茶柱しんとふゆ立つか


写真館昭和そのものふゆあたたか


独白よさりさりと剥くふゆりんご


寒がらす黙つきつぎに飛びたつか


双眼鏡ただただ海よふゆあたたか


飼いぬしとひとつに犬よふゆの浜


お日さまとひとつこころよ大枯野


手のひらに黙にぎりしめふゆの土


10月29日〜11月11日


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