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現代俳句 作品集 30 〜白鳥〜


「 白鳥 」
~現代俳句〜

首立ててみずうみじゅうの白鳥よ

一羽翔つみずうみじゅうの白鳥と

白鳥に明けては暮れてみずうみよ

鼻むけたさきにかおるか枇杷の花

なが生きの世に燦々とふゆざくら

一口よ和菓子の名にもはつしぐれ

ゆきだるまつくるにほんの風景よ

鷺一羽飛びたってより雪降りだす

かもがわに大橋いくつはつしぐれ

地きゅうごとつづける旅よ冬銀河

歩むたび言葉うしなう木枯らしよ

しずけさを踏んであるくか枯木山

あおぎ見てじぶんも立つか枯木山

駅まえにおおぞらひとつふゆの虹

いたはずのとんびが消えて空は雪

黄かかげて冬菊日ごと揺れやまず

湯気噴いて一気火勢のなべ焼きよ

一晩がくちどけてゆく煮こごりよ

だいぶつのあしもとに陽よ冬の草

立つままに風吹きぬけて枯すすき

手にとってあかるい庭よ柿落ち葉

屋根屋根に一列ずつよふゆすずめ

そらあおぐじぶんも雲かふゆの旅

立としてたたずむ鶴のしずけさよ

えださきに木々は寒星かがやかす

ゆく船をありあり照らすふゆの月

深海をあがってきてはくじら跳ぶ

かざす手の黙々としてストーブよ

ながれくる水よひかりよふゆの河

橋のしたすぎてきらめくふゆの川


11月29日〜12月13日


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