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現代俳句 作品集 19 〜北極星〜


「 北極星 」
~現代俳句〜

一天を押しあげているふんすいよ


たけが生え朔太郎忌をたけが生え


海峡の果てけぶらせて梅雨に入る


あじさいよ雲にかくれて富士筑波


一本のくきからはらり花しょうぶ


傘はみな虹になったということか


城のせてあお葉の山がどっしりと


おおぞらに放流するか梅雨のダム


ほたる飛ぶ月ひとつない村にこそ


母として母をしのぶかほたるの夜

ながながと美のなかにいて大朝焼


ふんすいは街のまんなか鳩が飛ぶ


スカイツリー人びとと立つ炎天よ


祭りして都会をそだてつづけるか


鳴くほどに世があかるむぞ四十雀


見わたして地下街じゅうが冷房よ


しんしんと無があるだけよ蟻地獄


教会のひっそりとして薔薇のなか


世とともに一人暮らしよレモン水


夏の月なにもかもある都市にこそ

はためいて「氷」の一字滝のおと


その底に遺跡がいくつなつのうみ


ヨットみなしの字しの字よ凪の海


突っ立って地球そのもの大向日葵


どっしりといのちいだいて金魚鉢


ゆうやけてへいわな今を愛そうか


海の家灯ともしてみなほしのなか


北極星夜ごとひとつのすずしさよ


じんるいのはんぶん眠るなつの月


悠久のうたよ踊りよハイビスカス


6月13日〜6月25日


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