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現代俳句 作品集 43 〜祭〜


「 祭 」
~現代俳句〜

滝こだま山ふかければふかいほど


かぶとむし対かぶとむし木々騒ぐ


せみのこえそらに吸われて山頂よ


瀬戸内のうみまっしろに西日さす


空ほどにひろがる海よヨットの帆


沖にまでひとひとひとようみの家


日の丸が空にはたはた梅雨明けか


うたがわずきく梅雨明けの雷鳴よ


大夕焼け西果てしなく染めるとは


すずしさが目にありありと北極星

きらめいて空にかつおよ一本釣り


あけるたび空にしぶくか缶ビール


人びとがうず巻くなかを神輿行く


よく見ればいっぴきだけよ金魚鉢


ここはどこここはふるさと昼寝覚


あおりんごしろじろと剥く包丁よ


交番は灯ともしつづけおくり梅雨


見つづけてげんじつ感よ屋根の虹


死のさきに生見えてくる手花火よ


渓流のおと夢にまでキャンプの夜

空ほどにひろい畑よパイナップル


パイナップル酸味つよくて南国よ


はしる蟹ひっくりかえす波来ては


果てなさよ五合目からの富士登山


富士山頂夕焼けぞらのまんなかに


しばらくをなつつばめ飛ぶ屋上で


巣立鳥鳴いていのちのさびしさよ


夏帽子子ら世のなかにつば立てて


大通り灯のはるばるとまつりの夜


祭の夜更けてめでたしめでたしよ


07月14日〜07月26日


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