現代俳句 作品集 43 〜祭〜
「 祭 」
~現代俳句〜
滝こだま山ふかければふかいほど
かぶとむし対かぶとむし木々騒ぐ
せみのこえそらに吸われて山頂よ
瀬戸内のうみまっしろに西日さす
空ほどにひろがる海よヨットの帆
沖にまでひとひとひとようみの家
日の丸が空にはたはた梅雨明けか
うたがわずきく梅雨明けの雷鳴よ
大夕焼け西果てしなく染めるとは
すずしさが目にありありと北極星
◇
きらめいて空にかつおよ一本釣り
あけるたび空にしぶくか缶ビール
人びとがうず巻くなかを神輿行く
よく見ればいっぴきだけよ金魚鉢
ここはどこここはふるさと昼寝覚
あおりんごしろじろと剥く包丁よ
交番は灯ともしつづけおくり梅雨
見つづけてげんじつ感よ屋根の虹
死のさきに生見えてくる手花火よ
渓流のおと夢にまでキャンプの夜
◇
空ほどにひろい畑よパイナップル
パイナップル酸味つよくて南国よ
はしる蟹ひっくりかえす波来ては
果てなさよ五合目からの富士登山
富士山頂夕焼けぞらのまんなかに
しばらくをなつつばめ飛ぶ屋上で
巣立鳥鳴いていのちのさびしさよ
夏帽子子ら世のなかにつば立てて
大通り灯のはるばるとまつりの夜
祭の夜更けてめでたしめでたしよ
07月14日〜07月26日
いつも
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ありがとうございます
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