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現代俳句 作品集 34 〜ぼたん雪


「 ぼたん雪 」
~現代俳句〜

手のひらに落ち街に落ちぼたん雪

そのはてのそらあおあおと梅の花

はるばるとかおりにれきし梅の花

航跡はすえひろがりよはるかもめ

貝がらよ手に手にひろうはるの海

ふんえんのあがる大阿蘇はるの馬

たちあがる牛のかなたのくもよ春

かげ落とし牛はあゆむか花すみれ

ちへいせんすいへいせんを鳥帰る

空港の屋じょうに出てながい日よ

みちいっぽんうなばらに伸び春岬

あしあとがおどるようによ春の浜

咲きのぼる梅におおぞらえだの先

街よみな出会いわかれてはるの雪

はるの湯気のの字しの字よ珈琲店

屋じょうは見あげるところ春北斗

菜ばしよ手間の料理のつくし和え

たかだかと石鎚ひとつさえずるか

とおくゆく雲のおそさよはるの芝

川の音瀬ごとにたかく木々の芽よ

つぎつぎとあからむつぼみ椿咲く

石段のいちだんずつよ落ちつばき

恋の猫毛をさかだててたたかうか

街じゅうが水輪模様よはるのあめ

かくれ里十重に二十重にはるの霧

瀬戸風の丘うなばらはうららかよ

ダチョウという沈黙一羽はるの雪

黄かかげて雨のち晴のたんぽぽよ

笑むようにまぶしむ北の雪解けか

あおぎみてあっとう的な富士よ春

02月10日〜03月01日


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