現代俳句 作品集 42〜金魚鉢〜
「 金魚鉢 」
~現代俳句〜
写生紙をはみ出してこそ富士は夏
鮎ときに跳んで山河をきらめかす
山寺が鳴いているかにせみしぐれ
登山杖いっ歩いっ歩をはやまらず
飛び魚がとんで地球のきらめきよ
選手立つ空あおあおと飛び込み台
ひらおよぎ抜くひらおよぎ歓声よ
いま沖のきらめきのなかうみの家
香のおくにある香水のれきしこそ
バーベキュー全員日焼しながらよ
◇
手に持って浅草ソフトクリームよ
みなかざすスマホカメラよ街の虹
荒神輿みずをかけてもおさまらず
ゆびさきでふれてひやりと金魚鉢
ぼんやりと将来見えてなつやすみ
れいぼうよどの絵もくらく美術館
みな夏の青さのなかよすいぞく館
オートバイエンジンとめて大夕焼
星ぞらにうかびあがってほたる川
神戸港灯となるたびにすずしさよ
◇
あさの日をあびてテントと山々と
見るほどにうごくこころよ雲の峰
たつ山によこたわる河ほととぎす
木あおげは目玉がふたつ青葉木菟
太陽はこめつぶほどよサングラス
けわしさよ鎖でのぼるいしづち山
手花火を継ぎ継ぎともす家郷の夜
大鳥居くぐればあかりまつりの夜
星ぞらにむすぶ願いよたなばた竹
ほしぞらがしだれてくるか七夕竹
06月28日〜07月12日
いつも
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ありがとうございます
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