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BCAA(分子鎖アミノ酸)で疲労感や感覚障害・不眠等の不調を改善できない理由

コロナウイルス感染症が流行し、感染後も続く症状として、
・疲労感
・倦怠感
・感覚障害(味覚障害、嗅覚障害、聴覚障害)
・不眠
などの症状が挙げられます。

そのなかで、BCAA(分子鎖アミノ酸)の摂取は比較的効果があったという投稿内容を見かけますが、
なぜ効果があったのか?なぜ完全には良くならないのか?
と疑問に思ったことはありませんか?

そこで、今回の内容を知ることで、
・自分の身体についてイメージしやすくなる
 ➡回復できるイメージが明確になる

・なぜ回復しないのかが分かる
 ➡何を摂るべきかが分かる
ようになります。



BCAAとは?

BCAAとは “Branched Chain Amino Acids” の頭文字で、
日本語では“分岐鎖アミノ酸”といいます。

名前の通りBCAAは「アミノ酸」なのですが、
アミノ酸は「たんぱく質」が分解されてできます。

そもそも
アミノ酸とは何か?
たんぱく質の役割とは何か?

ということを知ることで、より詳しくBCAAを知ることができます。


アミノ酸とは?

アミノ酸は、たんぱく質を構成する元となるものです。
たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合されてできています。
その中でも2つのグループに分けられ、
片方を必須アミノ酸
もう片方を非必須アミノ酸といいます。

必須アミノ酸は、体内で生成することができないアミノ酸のことで、
食事などで摂取しなければ補うことができません。
20種類のうち9種類が必須アミノ酸です。

【必須アミノ酸】
・ロイシン
・イソロイシン
・バリン
・リジン
・メチオニン
・スレオニン
・フェニルアラニン
・トリプトファン
・ヒスチジン

非必須アミノ酸は体内でも合成することができるアミノ酸のことで、11種類が非必須アミノ酸となります。

【非必須アミノ酸】
・アルギニン
・グルタミン
・グルタミン酸
・アスパラギン
・アスパラギン酸
・グリシン
・アラニン
・セリン
・システイン
・チロシン
・プロリン

必須アミノ酸のうちの3つ、「ロイシン」・「イソロイシン」・「バリン」をまとめてBCAAと呼んでいます。

たんぱく質の役割

 たんぱく質は、人の身体をつくり維持する、生命に欠かせない最重要栄養素です。
・筋肉
・内臓
・皮膚
・毛髪

これらの身体のパーツの大半がたんぱく質から構成されています。

また、目で見ることができませんが、
身体を正常に動かし、健康を維持するために日々働いてる
・ホルモン
・酵素
・抗体
・神経伝達物質

や身体を動かす「エネルギー源」としても使われています。

特にコロナ後遺症で悩まれている人は自律神経が乱れている方が多いのですが、神経伝達物質を作るための材料の一部である「たんぱく質」が不足していて、症状が長引いている方が多く見られます。 

人の体の60%は水分で出来ていますが、次に多いのはたんぱく質です。
体からたんぱく質をすべて取り除くと、、、
筋肉がなくなり、骨のリン酸カルシウムの結晶だけが残ります。
カルシウムのかたまりと思っている骨も
始まりはたんぱく質なので、人の体はたんぱく質なしには存在できないと言っても良いくらい大切な役割を担っています。

たんぱく質が足りないとどうなるの?

 あらゆる体の機能にかかわっているたんぱく質が足りなければ様々な不調が引き起こされます。

【たんぱく質不足が原因の症状】
・慢性疲労
・肩こり
・腰痛
・下痢
・冷え性
・むくみ
・貧血
心当たりがあれば、まずは食事の内容の見直しが大切です‼

飽食の時代、十分に食べているつもりでも、
たんぱく質不足がみられるように実は栄養失調状態という人が結構います。

BCAAで不眠が改善されない理由

コロナ後遺症をはじめ不眠で悩む方も多く見られますが、
「睡眠」にはホルモン、自律神経、深部体温など複数の要素が関わっています。

「たんぱく質を摂ればよく眠れる」
と言えるほど話は簡単なことではありませんが、

感情や気持ち、睡眠を左右する脳内の神経伝達物質の材料は

「たんぱく質」

なので睡眠に関係しているのは間違いありません。

睡眠に最も大きく関わっているのが
「メラトニン」です。

メラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれていて、脈拍・体温・血圧を低下させることによって睡眠と覚醒のリズムを調整し寝つきと目覚めを調整します。

このメラトニンの原料となるのが
「トリプトファン」です。

トリプトファンが脳に運ばれてセロトニンに変化し、その後ゆっくり時間をかけて夜にはメラトニンに変換されます。

セロトニンの分泌は、
太陽光を浴びることで促されるので、
夜よく眠るためには、
・朝食時にトリプトファンを含むたんぱく質を摂ること
・太陽の光を浴びること
が必要です。

また、セロトニンの90%は腸で作られていると言われています。
コロナウイルスに感染した人は腸内環境のバランスが崩れるという研究報告があり、上手く腸内でセロトニンが作れなくなっているとも考えられます。
そのため腸内環境を整えることも不眠の解消に繋がります。

では、質の良い睡眠を取るために必要なメラトニンの原料であるトリプトファンは、BCAAに含まれているのでしょうか?

上記の図を見ていただけたら分かると思いますが、
トリプトファンはBCAAには含まれていないのです。

これでなぜBCAAの摂取で不眠が改善されないのか分かっていただけたかなと思います。

BCAAで疲労感や倦怠感が改善されない理由

BCAAで多少は疲労感や倦怠感が改善された気がするけど、
すぐ疲れてしまう…
という状態の方は次のBCAAの5つの効果を知ると、
なぜ改善されないのかが分かります。

①筋肉の分解を防ぐ
 
生きていくうえでカラダを動かすエネルギーは欠かせません。
エネルギーは食事から摂取した糖質や脂質、たんぱく質を代謝して作りだします。
摂取エネルギー量が多すぎた場合、
使いきれなかったエネルギーは体脂肪として蓄積されます。

 逆に、摂取カロリーが足りなかったときはどうなるのでしょうか。
人間は摂取エネルギーが少なく、生命を維持するためのエネルギーが不足する可能性があるとカラダが判断すると、
体脂肪や筋肉を分解してエネルギーを生み出します。

また、運動時も血糖や肝臓のグリコーゲンが先に消費され、
それらのエネルギーが不足すると、
筋肉を分解しエネルギーを作り出します。

体脂肪の分解は喜ばしい事ですが、
筋肉の分解は筋肉を細くしてしまい、
筋力の低下や基礎代謝量の低下を招きます。

運動前や運動中にBCAAを摂取すると、摂取したBCAAがエネルギーとしてすぐに活用され筋肉の分解を防ぐ効果があることが分かっています。
筋肉が分解されないため、筋肉量が低下することなく運動やダイエットを行うことができます。

②筋肉の合成
 
筋肉量を増やすためには、筋肉の元となるたんぱく質を摂取する必要があります。
しかし、摂取したたんぱく質すべてが筋肉になるわけではありません。

たんぱく質を構成するアミノ酸の多くは肝臓で代謝され、髪や皮膚、爪など様々な組織を再生するために使われたり、生命維持をするための働きに使われます。

一方で、BCAAは筋肉に直接届き、筋肉を合成するために主に使われます。
BCAAは筋肉で使用される割合が高いため、筋肉づくりに効果の高いアミノ酸といえます。

実際にBCAAは、筋肉に含まれる必須アミノ酸の約35%を占め、筋細胞の主成分となっています。

運動直後などの筋肉が効果的に合成されるタイミングでBCAAを摂取することで、
エネルギー不足となった筋肉に筋肉の元となる材料を素早く届けることに繋がるため、筋肥大の効果が高まります。

③体脂肪の減少
 
BCAAを摂取することで脂肪を燃焼させ、体脂肪を減らす効果があるという研究報告もあります。
BCAAの摂取量の多さに比例して、過体重や肥満が少なかったという報告があります。

これはBCAAが食欲を抑える効果によって摂取カロリーが抑えられたり、
体脂肪を燃焼させエネルギーに変える働きを持つ成長ホルモンやインスリンなどの分泌を促すからではないかと考えられています。

④ケガからの回復
 
BCAAの筋肉を合成させる効果は、筋肉のケガからの回復にも効果を発揮します。
研究ではトレーニング前にBCAAを摂取すると、筋肉へのダメージを減少させたり運動後に起こる筋肉痛の発生を抑えることができたという報告もあります。

特に肉離れや筋挫傷などの筋肉が原因のケガをした時は、積極的にBCAAを摂取するとケガが早く治ります。
アスリートがBCAAを摂取することが一般的になりつつありますが、日頃のコンディションを保ち、ケガを防ぐことに繋がっています。

⑤疲労回復
 
運動をすることによって筋肉は疲労します。
筋肉の疲労を末消性疲労といいます。
BCAAはこの末梢性疲労だけでなく脳が疲労して疲れを感じる中枢性疲労にも効果があります。

長時間の仕事や運動をすると血中のBCAA濃度が低下します。
BCAA濃度が低下すると、血中に存在し疲労物質の元になるトリプトファンが脳へ流れ込みやすくなります。
トリプトファンをもとにして疲労物質であるセロトニンの生成が増え疲労を感じます。

BCAAを摂取することで血中のBCAA濃度を高め、中枢性疲労を抑えて集中力を高く保つことができるのです。

上記の5つの効果から分かるように、
BCAAは長期的に持続させるよりも、短期的に効果を得ることに向いているので、持続的に疲労感を軽減させることには向いていないことが分かります。

それと合わせて、たんぱく質をエネルギーに変える際に必要なビタミン類が不足していることも考えられます。
以下の図は、私たちが体を動かすために必要なエネルギーを作っているときの経路図です。

・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ビタミンB6
・ビタミンB12
・ナイアシン
・パントテン酸
・葉酸
・ビオチン
これらのビタミン類が不足していることで、エネルギーが作れず、疲れやすくなっていることや

エネルギーを作っているのは発電所のような役割を担っている「ミトコンドリア」という細胞内小器官なのですが、そもそもミトコンドリアの数が減っていしまっている事なども考えられます。

結局バランスが大事‼

これまでの内容で
「たんぱく質が大事‼」
「ビタミンも大切‼」
という事を少しは分かっていただけたと思うのですが、ただやみくもに摂れば良いというわけではありません。

栄養素には「桶理論」という考え方があり、
栄養素を桶の板、中に貯められる水を栄養効果に例え身体が必要としている栄養素のうち何かの栄養が不足していたり極端に少なかったりすると、
その最も少量の栄養素と相互作用できる範囲でしかそのほかの栄養素も働かないと言われています。

アミノ酸も同様に桶理論が適用されます。
以下の図では必須アミノ酸の桶理論を示していますが、
たんぱく質全体のバランスも意識することが大切です。


必須アミノ酸がバランスよく含まれているかどうか判断するために用いるのが「アミノ酸スコア」です。100に近ければ近いほどバランスが良いとされています。

食品中のアミノ酸スコア


アミノ酸スコアが100のプロテインもいくつか紹介しておきます。参考にしてみてください‼
実際に飲んでみて美味しかった物を載せていきます😊
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BCAAとプロテインの違いについてはこちらの記事にまとめています。


今の時代、毎日3食を自炊してバランスよく摂るのが難しいと感じている方もいらっしゃると思います。
1番の理想は食品をバランスよく使って食べる事ですが、1人1人生活習慣には個人差があるので、
無理なく続けられる方法を探すことが大切だと考えています。

BCAAなどの健康食品やアミノ酸スコアが100に近いプロテインや食品を活用して、不調の改善につなげて健康を維持するための生活習慣を確立させてください。

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