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水着はないけど、スカボロービーチ

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山下由のオーストラリア滞在記。ウルルは大きなちゃんみたいでした。
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2019年6月の記事一覧

バスストップ

バスストップ

パースではよくバスを使って移動していた。距離に応じて1~9のゾーンというものがあり、値段はゾーンが遠くなれば少しづつ上がる。前払いで自分の行きたいゾーンまでの料金を払い2時間以内ならゾーン内で何度も乗り降りできる。すごくいいシステム。無料で巡回しているキャットバスというのもあった。

前の回にも書いたけど基本すごくルーズで運転手がクッキーやサンドイッチを食べながら仕事しているのも別に珍しくなかった

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チェッスメイ

チェッスメイ

初めてオーストラリアでしたアルバイトは持ち帰り専門の小さなお弁当屋さんだった。
6畳ほどの厨房と間にレジや惣菜のショーケースを挟んで飲み物の冷蔵庫やちょっとした机のある店内。照り焼きチキンと照り焼き豆腐が人気メニューでカレーライス、手まり寿司みたいなものも売っていた。店長は日本人で赤坂さんというおじさんで、小林さんという小柄な女性もアルバイトとして働いていた。

赤坂さんは浅黒いジャッキーチェンみ

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水着はないけど、スカボロービーチ  「ホームステイママ②」

水着はないけど、スカボロービーチ  「ホームステイママ②」

セシリーは小さなきみどり色の小鳥を飼っていた。鳴き声が「スイート」と聞こえるのでスイートという名前で呼んで可愛がっていた。関係ないけど向こうの人は本当に子供のことをマイスイートと呼んだりする。

鳥が好きなのか、僕たちホームステイの人たち含め何を養ったりするのが好きだったのかも知れない。オーストラリアにはカラスがいる。日本のカラスよりも少し大きくて鳴き声も少し違う。鳥にも外国語的なものがあるのかも

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水着はないけど、スカボロービーチ「ホームステイママ①」

水着はないけど、スカボロービーチ「ホームステイママ①」

朝8時。カンカンカンとフライパンとお玉を打ち鳴らす音。「グッモーニン、ボーイズ!ブレックファーストレディ」。
それがオーストラリアで最初に暮らした家の朝の音だった。

最初に僕が滞在したのはセシリーさんというすこしぽってりとして、いつでも笑っている快活な65歳くらいのおばあさんの家で、今は家を出てしまった子供たちの部屋をホームステイ希望の外国人に貸し出ししていた。庭に自家用プールがあってお金持ちな

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連載「水着はないけど、スカボロービーチ」

連載「水着はないけど、スカボロービーチ」

はじめに・・・

Pityman(ピティーマン)という劇団で演劇をつくっています。山下由(やましたゆう)です。
今年の9月に「ばしょ」という作品を再演します。これは僕が20代前半のころ半年ほど滞在していたオーストラリアでの出来事をベースにつくった作品です。
この作品をもう一度やるにあたってその頃あったことなどを書いてみようと思いました。「水着はないけど、スカボロービーチ」

なんでオーストラリアに

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