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「ずっとここで暮らしたい」と白黒の花嫁
同じシェアハウスで暮らしていた小林さんは僕より5つくらい年上のいつもニコニコしているさわやかな男だった。
彼は結婚式などで写真を撮るプロカメラマンだったが、辞めてカメラ片手に世界を転々とし、そのころオーストラリアで永住権を取得するために調理師を目指していた。
彼はいつもリビングでギターをぽろぽろ弾いていた。彼は永住権のためだけに英語を勉強し、調理師になろうとしていたので料理は出来るけど、別に作る
スプーンに映るぼくとナイストゥーミーチュー
留学する人にとってオーストラリアのバイトにもランクがあって、日本人しか働いてないところは中でも一番低い。楽な代わりに(日本語しか使わなくていい)何故か時給が最低賃金を下回る。いまだに仕組みはわからないけどそうだった。
次のランクが日本人が経営しているけど英語がネイティブじゃない外国人も働いているところ。ここは日本語も英語も半々使う。自給は大体最低賃金くらい。一番いいのはネイティブの人が経営してい
水着はないけど、スカボロービーチ
タカシくんという男の子と仲良くなった。
彼は山口にある大学を休学してオーストラリアに来ていた男の子で、僕より2つか3つ年下で、英語が堪能なよくしゃべる男だった。
何故か僕になついてくれて、よく彼の家に遊びに行ったりしていた。彼はヘラヘラしながら「コーヒー飲む?」と僕にコーヒーをすすめてくれた。飲んだコーヒーは今まで飲んだどんなコーヒーよりもまずく、どうやって作ったのか聞くとドリップコーヒーとイン
ルームメイトのジョンくん②
前回の続き
ジョンはプレステが大好きだった。毎晩ケンブリッジの英語教材に向かう僕に「勉強は身体によくないよ」と言いながらプレステにいそしんだり、コメディードラマのフレンズを見て最終回には「さみしいよ俺は」とか言いながら泣いたりしていた。
ある日家に帰るとプレステがなくなっていた。遅れて帰ってきたジョンにどうしたのと聞くと「ユウ。俺はこのままじゃだめだ。何のためにここにきたのかわからなくなる」と言
ルームメイトのジョンくん①
オーストラリアで最後暮らした家は韓国人と日本人が一緒に暮らしているシェアハウスだった。スワンリバーにほど近い住宅街にある家でやたらと広い家だった。オーストラリアは都市部以外は基本的に高い建物がなかった。とにかく土地があるから上に伸びる必要がないからだと思う。その家も平屋で日本ならもう一つ小さな家が建てられそうなくらいの庭があった。
僕の部屋は玄関入ってすぐのところにあり、ジョンという少し年上の韓
貧乏レシピ戸棚風味うどん
とにかくお金がなかった。バイトに行くために乗るバスのお金もないくらいなかった。
シェアハウスのキッチンの戸棚には前の住人が残していった食料があってそれを食いつないで生きていた。
お米はバイト先のジャパニーズレストランで安く買うことができたので、お米だけはあった。
なんでお腹が減るんだろう。お腹さえ減らなければ食べなくていいし、食べるためにお金を使わなくてもいいのにと結構本当に腹が立った。そんなと