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エイプリルフールでしたね
嘘がよくわからないときがある。嘘というか冗談を真にうけてしまう。
疑り深い性格だから信じてない人のことは、かなり本当らしくても疑ってかかるが、近しい人だと良く考えたら全然嘘だろうということをあっさり信じてしまう。
保育園でバイトしていた頃、営業時間の最後までのシフトに入っていた。18時過ぎるとほとんどの子は親の迎えが来ていて残っているのは一人とかになる。その時残っていたのは一人でも遊べる子で、僕
テンをまってた夜のこと
テンはいつも夜の九時頃現れた。
今から五年ほど前に、床も天井も壁も何もかもが薄い家に住んでいた。
冬の朝、目が覚めると息が真っ白で、ほとんど外と同じ気温だった。雨に濡れないほぼ外だ。夜な夜な上の階に住む人のおならも聞こえてくる。そのぶん家賃も安いボロアパートだった。
部屋に入って道路に面した正面と、隣の家の塀に面した左側に、開ければ腰掛けて足を乗せられるくらいの窓があった。道路側はすりガラスほとん
イチカワ先生か、バチカワ先生か
小学三年生くらいの頃、林くんという男の子と仲が良かった。校内を手を繋いで歩くほどのべったりさだった。
小川のようなサラサラな栗色の髪の毛を揺らし、赤いほっぺでよく笑う可愛いらしい男の子だった。サッカー少年で広島に住んでいるのにジャイアンツファン。クラスに他にも彼と仲のいい子はいたと思う。なのに、どうして彼が僕とあんなに一緒にいてくれたのかはよくわからない。とにかく彼とはずっと一緒にいた。
あ
親父が死んで僕は分裂
内省的でモラトリアムなものが僕の性質で、僕自身もそういう作品に触れることを愛していたし、造ってきた。でも父親が死んだとき、そういう自分自身を形作ってきた部分と分裂した部分が出来た。人は突然死んでしまうし、それは仕方がないし、不幸ではあるけど不幸な側面だけではないし、なによりいつまでも悲しんでいるわけにはいかない。生きている人は生きていかなくちゃいけない。悲しみは、悲しいときにだけそこにあるわけでは
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