藤村公洋

料理、酒、方面よろず屋。

藤村公洋

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マガジン

  • 美しき老いの羅針盤

    渋谷のラジオで毎週火曜21時から放送中「渋谷のラジオの惑星」のパーソナリティー小原信治(放送作家・脚本家)と藤村公洋(バーテンダー・料理家)が番組の放送後記も兼ねて50代から考えておきたい「老い」について綴っていく往復書簡です。毎月第二週火曜(小原分)と木曜(藤村分)を定期更新していきます。 すべて見る

  • お熱いのはお好き?

    • 10本

    フードライター・白央篤司と、バーテンダーで料理家・藤村公洋の交換コラム。週に1本更新(の予定)。

最近の記事

高松日記 2022.8.3.午後1時

やはりというか、そりゃそうだよな。 毎日書くと決めた1年間を終え、ゆるゆると書きたいときに書きましょうなどと自分を解放したとたん日記が面倒になった。1週間ぶりの更新である。 ただいま午後1時25分。 グランドシネマサンシャインの5階にあるカフェでコーヒーを飲んでいる。 テーブルや椅子はアメリカンダイナー風。コーヒーは北欧風。フードはワッフル。壁一面にONE PIECEの映画宣伝ヴィジュアルという、いささかバランスの悪いカフェで1時35分から上映の『エルビス』を待ってい

    • 高松日記 2022.7.26.午後2時

      合格通知を受け取るなんて何年ぶりだろう。 ていうか初めてかもしれない。 高校や専門学校は合格発表を見に行った世代だし、就職活動の類いはしたことがないからその手の通知には縁がない。アルバイトで郵送もなかったしね。てことはやっぱり初めての体験だ。 ポストにそれっぽい大判封筒を見つけたときの高揚感と手にしたときのずっしりした“合格っぽい重さ”への期待感。でもって開けたときの喜び。なんていい体験なんだ。伝達方法としての合格通知の素晴らしさ。           ⭐︎ ちょっ

      • 高松日記 2022.7.24.正午

        物事に取り組む姿勢として、人は2通りに分かれる。 つまり、「ベタ」か「ハズシ」である。 そうだな、8対2くらいでベタが圧倒的に多数派なんじゃないかしら。 29(肉の)日に焼肉を食べる。節分に恵方巻きを食べる。ひな祭りにちらし寿司、冬至に柚子湯、海の日に海水浴、11月22日(いい夫婦の日)に入籍などなど。これらすべてのベタ的行為は多くの人の支持を受けている。保守本流である。 ところがね、これらのイベントの多くは、我らハズシ派にとって実に小っ恥ずかしいのですよ。 そして

        • 高松日記 2022.7.20.午後4時

          毎月20日は連載している俳句四季の発売日。今回のテーマ食材は「オクラ」であり、作った料理がヘッダーの写真でございます。気になるかたは書店でご確認くだされ。            ⭐︎ 山口銀次とルアナ・ハワイアンズというバンドの『これがハワイアンムードだ』というLPレコードを聴いている。盤の傷が目立つな。おそらく1960年代、昭和40年前後の作品。 先ほど池袋の樋口豆腐店まで買い物に行ったんだけども、寸前で財布に1万円札しかないことに気付いてココナッツディスクに寄ったの

        高松日記 2022.8.3.午後1時

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        記事

          高松日記 2022.7.17.午後1時

          「この日記も祝1周年。これを機に毎日の更新という自分への縛りをなくそう」などと書いてから半日しか経っておりませんが、舌の根も乾かぬうちに2年目最初の投稿となります。 “舌の根も乾かぬうち”とはどちらかといえばネガティブなシーンでの言い回しですよね。てことはこの場合にはふさわしくないのかしら。日記を書くというのはポジティブな行為だものね。“毎日書くのはやめます宣言”をしたにも関わらず次の日いつも以上に早く書くっていうね。僕らしくていい。 朝起きて猫の水を取り替え(もう猫はいな

          高松日記 2022.7.17.午後1時

          高松日記 2022祝1周年篇

          7月16日(土)雨 ほんの出来心で始めたこの日記も早いもので今日で1周年。 ウソ。ちっとも早くなんてなかった。超長かったですよ。 コロナ禍は続き、オリンピックがあり、アパートの天井から水漏れがあり、戦争が始まり、愛猫が死に、コンサートに5回ほど行き、20本ほどの映画を観て、じゃが芋を収穫し、選挙があり、男闘呼組が復活(最高!)した。 そもそも僕は皆がよく言うように1年があっという間とはまるで考えられないタイプであるが、それにも増して日記のおかげでこの1年は特別に長い。

          高松日記 2022祝1周年篇

          高松日記 2022雨に合う音楽篇

          7月15日(金)雨 1日中雨。いちにちじゅうあめ。 かつて旧中山道をいちにちじゅうやまみちと読んだアナウンサーがいたとかいないとか。 小雨の折に山形屋とまいばすへ買い物に出た10分以外はずっと部屋で過ごす。 以前働いていたバーで雨の日には決まって『ゲッツ・ジルベルト』を流すオーナーがいたけども、雨のBGMは意外と難しい。 昔はラジオの選曲といえば天気や世相を反映したものが多かったから、雨の日にはそれに合う音楽が流れてくるラジオを聴いているのが心地よかった。生放送も多

          高松日記 2022雨に合う音楽篇

          高松日記 2022パリ祭篇

          7月14日(木)雨 強くなったりおさまったり、雨の一日。 朝起きて資源ごみを出し、その足でセブンイレブンへ向かう。ドリップコーヒーが切れたのだ。 ほとんどのセブンで取り扱いがない7プレコーヒーオリジナルの“20パック入り”が我が家から最も近い店舗で売っている。ノーマルの10P入りよりずっと割安なのですよ。そんなわけで、コーヒーに関してはその店一択である。429円。           ⭐︎ 食のバランスを考えず本能の赴くまま好きなものを食べると体に良くない、男性は特に

          高松日記 2022パリ祭篇

          高松日記 2022ニース風サラダとハンバーガー篇

          7月13日(水)曇り/雨 朝は小雨だったものの昼近くに止み、スマホの天気予報でもその後は降らなそうだったのでなんの気無しにバイクで新宿へ出る。 と、豊島区から新宿区に入ったあたり、千登世橋を潜って学習院下から戸塚警察を過ぎると突然の雨。かなりの雨。本降りの雨。 信号待ちで簡易カッパを羽織り、引き返すわけにもいかずそのまま新宿入り。いつものタカシマヤ前の駐輪場にバイクを停める。 完全に読みを誤った。いやーまいった。 タカシマヤでインゲンとピータンを買い(259円)、久

          高松日記 2022ニース風サラダとハンバーガー篇

          高松日記 2022おはよう僕のメリンダ篇

          7月12日(火)曇り/雨 昼近くになって雨が降ってきたので歯医者へは歩いて向かう。いつもはバイクで行くから面倒かつ早めに出なきゃと思ったが、駐輪場のこともあるしドア・トゥ・ドアで考えればバイクも徒歩もそれほどの時間差はないんだな。どちらも25分というところ。 奥から3番目の歯に亀裂が走っており、もし割れると抜歯となるため今のうちにかぶせモノをしておきましょう、と歯科医が言う。 もう何年も3ヶ月おきにクリーニングに通っているが、時おり衛生士が「ちょっと気になるところがある

          高松日記 2022おはよう僕のメリンダ篇

          高松日記 2022忘れられない篇

          7月11日(月)晴れ 午前3時。 バー勤務を終えて夜食込みの晩酌を終え、あとはこれを書いて寝るだけ。 唐突ではありますが、僕は特に関係が濃くもないカップル(今は夫婦)の初デートの日を覚えている。30年前のその日はダブルデート(恥ずかし!)に誘われたのだ。覚えやすい日だったのか、はたまた生まれて初めてのダブルデートということで高揚していたのか分からないが、今だにその日がくると思い出す。ちなみにダブルの片方である僕と彼女はその後会っていない。 高校の同級生(同性)であるM

          高松日記 2022忘れられない篇

          高松日記 2022選挙篇

          7月10日(日)晴れ 参院選投票日である。 僕はといえばすでに2週間前に期日前投票を済ませているのであまり実感はない。 ちょうど購入しようとしていた手作りの家具屋さんが実施する投票割りを利用するためであったが、カーニバルとして選挙を捉えればやはり当日に足を運んだほうが盛り上がるのは間違いない。間違いない。長井秀和氏はお元気だろうか。           ⭐︎ 朝起きてシャワーを浴び、コーヒーを淹れてビートルズ『ホワイト・アルバム』を聴く。ずいぶん久しぶりだ。なぜだろう。

          高松日記 2022選挙篇

          高松日記 2022サンドウィッチ偏愛篇

          7月9日(土)晴れ ファミレスの厨房というのは誰が担当しても一定のクオリティを保つオペレーション(それ自体は素晴らしいシステム)が組まれているが、サンドウィッチだけはどうしても技術による個人差が出やすいメニューである。組み立ての技術。カットの技術。実にやっかいなタイプの料理なのだ。 ということを考えると、長年クラブハウスサンドをオンメニューし続けるロイホとデニーズには、その一点だけとってもレストランとしての自負を感じるし、決して無くなって欲しくないメニュー第1位としてファ

          高松日記 2022サンドウィッチ偏愛篇

          高松日記 2022それでも毎日は続く篇

          7月8日(金)晴れ あと1週間ほどでこの日記を書き始めて1年が経つ。 おっと。なんとなく慣例に従って「早いもので」と書きそうになり踏みとどまる。 ちっとも早くない。1年はかなり長いし、1日も欠かさず日記を記すとなればなおさらだ。 そもそもの動機は東京オリンピックの開催期間に合わせた「オリンピックの出てこないオリンピック日記」を残したいといった思惑であり、テレビもなく、おそらくオリンピックを観る機会はないであろう自分にとって2021年夏の記録のつもりでありました。世間は

          高松日記 2022それでも毎日は続く篇

          高松日記 2022七夕収穫篇

          7月7日(木)晴れ ここのところ涼しい日が続いている。 たいして雨も降ってないので土も乾いている。 旅に出る理由が「遠い太鼓が聴こえた」からという話と同じように、朝起きてぼんやり庭を見ているうちに「今日だ」と誰かが囁いた。 3月の頭に植えたじゃが芋。 我が家の一畳畑で手間もかからず(じゃが芋は成長を見守るだけ、ほとんど世話がいらない)、かといって地中にできるためいつまで経っても見た目の実感がなく不安で仕方なかったものをようやく本日掘り返す覚悟を決める。 こちらシートを

          高松日記 2022七夕収穫篇

          高松日記 2022サラダ記念日篇

          7月6日(水)曇り/ときどき小雨 ぐっすり眠れないわりに夢をよく見る。 もしくは、ぐっすり眠れないからこそ夢を見るともいえるのかしら。 今朝の明け方は久しぶりに死んだ両親が現れた。かつて住んでいた僕の生家である古い一軒家で父と母はレストランを開業した。住宅街の奥の奥、人なんて通らないところ、軽く改装していつのまにか開店した店は内装もメニューもとことんダサく、素人丸出しのレストランであった。そのために借金もしたらしい。 僕が気づいたときにはすでにオープンを迎えており、急い

          高松日記 2022サラダ記念日篇