見出し画像

高松日記 2022雨に合う音楽篇

7月15日(金)雨

1日中雨。いちにちじゅうあめ。

かつて旧中山道をいちにちじゅうやまみちと読んだアナウンサーがいたとかいないとか。

小雨の折に山形屋とまいばすへ買い物に出た10分以外はずっと部屋で過ごす。

以前働いていたバーで雨の日には決まって『ゲッツ・ジルベルト』を流すオーナーがいたけども、雨のBGMは意外と難しい。

昔はラジオの選曲といえば天気や世相を反映したものが多かったから、雨の日にはそれに合う音楽が流れてくるラジオを聴いているのが心地よかった。生放送も多かったんだろうな。最近はプロモーションやタイアップなど“大人の事情”での選曲ばかりだし、雨の日に雨の日っぽい曲を流すというのはすでにラジオの仕事ではなくなった感がある。

今日は部屋でずっとチャンドラー『リトル・シスター』を読み、レコードを取っ替え引っ替えしつつ今の気分に合う音楽を模索するもののとうとうヒットするものを選べなかった。
モンク『SOLO MONK』、映画『スティング』のサントラ、初期プレスリー、どれもしっくりこない。ビートルズも加藤和彦もダメ。最近のヘビロテである矢舟テツロートリオも今日は違う。
大瀧詠一の楽曲を井上鑑がオーケストラアレンジした『ナイアガラ・ソング・ブック』がまあまあよかったので唯一AB面通しで聴いたものの、最後の曲が終わって音楽が止み、窓の外から流れる雨の音だけに戻るとホッとしたのもまた事実でして、、結局のところ今日は雨の音に耳を傾けるのが一番だったのかもしれませんな。

           ⭐︎

山形屋で鶏もも1枚(430円)、まいばすで冷凍枝豆と無調整豆乳とベーコンと玉子とトマト1個(928円)を買う。

枝豆は夏の風物詩ではあるが今ではそれほど庶民価格ではない。1パックだいたい500円近くするものね。ずいぶん高い野菜なのだ。ご飯のおかずでもないし、どちらかといえばチーズや生ハム同様お酒の供であり嗜好品。となればそうやすやすと食べられるものでもない。フレッシュはね。

そこへいくと冷凍物は実に安い。

一年中売ってるし、季節感なんて関係ないとはいえ夏に食べればちゃんと夏の雰囲気だしフレッシュ物と遜色ないムードをもたらすのですよ。十分おいしい。

そんなわけで冷凍枝豆を蒸篭で蒸す。3分。いい具合だ。

午後の早い時間に茹でておいた自家栽培のじゃが芋と茹で玉子を使ってサラダにする。黒オリーブとアンチョビ。フレンチドレッシング。

だいぶ端折ったけどニース風サラダのつもり。実際同じような味なのだ。

たとえば、最低限の要素として「衣にキャベツさえ入っていればそれはお好み焼きである」と言えるようなデフォルトの条件はニース風サラダにとってもあるのだろうか。あるんだろうな。
僕らバーテンダーがどれだけアレンジしたとしても「これはマティーニです」と呼ぶにはそれなりの最低条件はクリアしておかねばならない、というのと同じこと。

ていうかそもそもお好み焼きの最低条件がキャベツかどうかも怪しい。思いつきで言っちゃったけど僕はお好み焼きネイティブじゃないからよく考えたら違うかも。紅生姜かもしれないし豚肉かもしれない。。

          ⭐︎

夕食は鶏ももとズッキーニと玉葱の酢鶏風。ぬか漬け。豆腐と油揚げとトマトとオクラの味噌汁。ご飯。

これを書いている今の今、扇風機の風に煽られ、壁にテープで止めていた映画『イントロダクション』のポスターがぴらぴらばさーという音と共に剥がれた。とても不吉な音だ。コーエン兄弟の『バートン・フィンク』を思い出す。

すぐに貼り直す。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?