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土間の片隅に、ザトウムシを見つける。 平べったい豆のような胴体に、その十倍以上はあろ…
タヌキには、肉が臭いのと、臭くないのがあって、それを見分けることは不可能、捌いてみて初…
雨上がりの小道を歩けば、あちこちカニの横歩き。 無論、こちらが雨上がりを歩くので、雨…
何もかも取っ払って簡単に言えば、その子の家は金持ちだった。 庭付きの大きな家、当時は…
様々なシダが生えている。 春に芽を摘む、ゼンマイ、ワラビ、コゴミなどもシダであるが、…
エノキダケが見れば、狂喜乱舞するだろうというような、立派なエノキが生えている。 枝で…
卯の花くたしとなるのだろうか、ほの暗い空から雨の落つ。 谷の向こうの山は霞み、消えゆき、ここはぽっかりと浮かぶ天の舟、錨もなしにふらふら行けば、雨の終わり、晴れるとき、その身を寄せる港はあるか。 かつて、この島国には、舟を家とし、海を行く、そんな人々がいたという。 そもそも昔は水上交通、陸路というのは困難で、危険を伴うものだった。 だから、木を運ぶにも、食糧、その他を運ぶにも、川や海が最適で、舟は至極身近な存在、そこで暮らしを営む人も、大勢いたというわけだ。
海風が、南の峠にぶつかって、そこで雨が降るのである。 台風なども南から、温い風がびゅ…
コオロギというものは、とかく気持ちの悪いものである。 ゴキブリかコオロギかと言われれ…
カタバミの種が、パチパチ弾けるのが好きである。 土のない砂利にもコンクリートにも、よ…
干して、焼酎に漬け込むと、美味いカエルがあるのだという。 蜂やヘビを漬け込む酒という…
鳥も、歌が上手いのと下手のがあって、上手いのは人が聞いても分かるもの。 いまは動画や…
グミが鈴なりになるので、食べに行く。 茂る葉の中、その赤が目に飛び込んでくるのは、人…
夜の山に鵺の鳴く。 フィー、ヒョーと、振り子のような一定の間で、物悲しげに鳴いている。 この鵺というのは、トラツグミの別名で、古くは平安の時代、万葉集にも、幾つか鵺の歌がある。 寂しい、悲しい、そんな思いを、先人は鵺のこの声に乗せたのだ。 ところがこの鵺、平安の後、平家物語では、恐ろしい怪物として描かれる。 顔はサル、体はタヌキ、トラの手足に、尾はヘビで、薄気味悪い声で鳴く、源の某が退治した鵺は、トラツグミとは似ても似つかぬものである。 貴族の世から