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【随筆/まくらのそうし】 羊歯

 様々なシダが生えている。

 春に芽を摘む、ゼンマイ、ワラビ、コゴミなどもシダであるが、当然その他も多々あって、多くの名前を人は知らない。

 まるで石垣のすだれのように、縦に伸びるものあれば、毛深いものから色の濃いもの薄いもの、たんぽぽの葉のよう、大胆に広がって育つものなど、その造形は見ていて飽きない。

 また、シダと言えば恐竜である。

 木の如く大きなシダ、その間をかき分けて、恐竜がのっしのっしと闊歩する、そんな時代があったことを、シダは覚えているだろうか。

 無論、その時代には及ぶべくもないが、大きなシダを見かければ、何億年という昔に思いを馳せて、そのひとときに立ち止まる。

 その恐ろしい竜の子孫が、頭上で囀るのを聞きながら。

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