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ろんぐろんぐあごー

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デビュー以前に書いた素面では到底読めない作品をひっそりと公開。
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2023年10月の記事一覧

MAD LIFE 180

MAD LIFE 180

12.危険な侵入(13)4(承前)

「私も一緒に行く」
「馬鹿。ふたりともいなくなったら変に思われるだろう?」
「おじさんひとりで大丈夫?」
「俺があの部屋に入るのを気づかれないように、おまえは店主の気を惹いてくれ」
「え? どうやって?」
「どうでもできるだろう? なにか追加注文するとか、道を尋ねるとか」
「わかった、やってみる」
「よし。じゃあ、作戦開始だ」
「胸がドキドキするな。楽しみ!」

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MAD LIFE 179

MAD LIFE 179

12.危険な侵入(12)4(承前)

「ん?」
「窓の外」
 瞳は顔を伏せながらそういった。
 ガラス窓の向こう側を見て、洋樹は息を呑む。
 店の前をうろうろと歩き回っているのは中部警部だった。
 メニュー表で慌てて顔を隠す。
「なんで、あの人がこんなところに?」
 瞳が訊いてきたが、洋樹にだってわからない。
 やはり、この喫茶店にはなにかあるのだろうか?
 洋樹たちに気づくことなく、やがて中部は

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MAD LIFE 178

MAD LIFE 178

12.危険な侵入(11)4(承前)

「おい、真知」
 中西は真知に訊いた。
「おまえの親父さん、なんて名前なんだ?」
「パパの名前? なんでそんなこと訊くの? お嬢さんを僕にくださいってお願いするつもり?」
「冗談はいいから、名前を教えてくれ」
「べつに冗談じゃないんだけど……トオル……小崎徹よ」
 真知が答える。
 どこかで聞いた名前だな、と中西は思った。

「こんなところに喫茶店があるなんて

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MAD LIFE 177

MAD LIFE 177

12.危険な侵入(10)4(承前)

「おじさん、どこへ行くの?」
 瞳がきく。
「〈フェザータッチオペレーション〉」
「え?」
 洋樹の返答に、彼女は大きく目を見開いた。
「〈フェザータッチオペレーション〉がなにかわかったの?」
「いや、まったく。俺がいっているのは喫茶店のことだよ」
「喫茶店? そんなお店、どこにあるの?」
「おまえ、この近くに住んでるのに知らないのか?」
「私、コーヒーとか、

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MAD LIFE 176

MAD LIFE 176

12.危険な侵入(9)4(承前)

 瞳が嬉しそうに手提げ袋の中身を見せる。
 そこにはニンジンやジャガイモが入っていた。
「今夜は私の大好きなビーフシチュー。あ、そうだ。おじさんも食べていく?」
 洋樹は瞳の質問を無視して尋ねた。
「おまえ、今日、学校には行ったのか?」
「どうしてそんなことを訊くの?」
 瞳が口をとがらせる。
「いや、もしかしたら行ってないんじゃないかと思ってさ」
「行かなかっ

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MAD LIFE 175

MAD LIFE 175

12.危険な侵入(8)4(承前)

「俺、次の駅で降りるから」
 洋樹は隣に立っていた中西にいった。
「え? どうしてです?」
「立川が話していた〈フェザータッチオペレーション〉という名前の喫茶店に行ってみようと思うんだ」
「俺も一緒に行きましょうか?」
「いや、いい」
 洋樹は目まぐるしく移り変わる窓の外の風景を見ながら首を横に振った。
「おまえは、真知君の親父さんを探し出してくれ」
「わかりま

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MAD LIFE 174

MAD LIFE 174

12.危険な侵入(7)3(承前)

「おまえ、なにをしてるんだ?」
 親父は悲鳴に近い叫び声をあげると、兄貴の手を払いのけた。
「ふふ。ふふふっ」
 背すじがぞっとするような不気味な声で兄貴は笑った。
 床には注射器が転がっている。
 ……麻薬?
 俺は兄貴の顔を見た。
「くく……くくくく……みんな死んじまえ! 死んじまえ!」
 兄貴はそんな言葉を繰り返しながら家を飛び出していった。
 家の中から

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MAD LIFE 173

MAD LIFE 173

12.危険な侵入(6)3

 八月二十四日
 江利子に撃たれた社長を大急ぎで病院に連れていく。
 即、手術。
 意識は戻らず。
 頼む。
 生きてくれ。

 八月三十一日
 傷口が開き、再び出血。
 二度目の手術。
 俺が代わりに死んでもいい。
 目を覚ましてくれ、社長。

 九月二日
 未明に三度目の手術。
 しかし、手術の甲斐なく、社長死す。

 浩次は泣いていた。
 立澤栄はこの世の人ではな

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MAD LIFE 172

MAD LIFE 172

12.危険な侵入(5)2(承前)

 瞳は目を覚ました。
 布団は汗でぐっしょりと濡れている。
「また、この夢……」
 彼女は額の汗を拭って、そう呟いた。
 記憶の片隅に残っている十四年前の記憶が、最近は夢になってはっきりと現れる。
 枕元に転がっていた目覚まし時計を拾い上げてため息をついた。
 まもなく正午になろうとしている。
「始業式、サボっちゃった」
 瞳はひとりごとを口にしながら、何気なく

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MAD LIFE 171

MAD LIFE 171

12.危険な侵入(4)2(承前)

 丸買証券の社長の息子?
 瞳の兄――浩次が三年前に殺した内村展章は丸買証券の会長だった。
 〈フェザータッチオペレーション〉と浩次はやはりどこかで繋がっている。
 洋樹は目を閉じ、頭の中を整理しようと努力した。
 内村を殺すよう浩次に命じたのは長崎だ。
 その任務はもともと、立澤が長崎に命じたものだった。
 立澤組……フェザータッチオペレーション……暴力団……

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MAD LIFE 170

MAD LIFE 170

12.危険な侵入(3)2

「フェザータッチオペレーション? 知ってますよ」
 洋樹の部下のひとり――立川はあっさりと答えた。
「え? 本当か?」
 洋樹は目を輝かせ、身を乗り出す。
「ええ。喫茶店のことでしょう?」
「喫茶店?」
 洋樹と中西は互いに顔を見合わせた。
「そんな名前の喫茶店があるのか?」
「ええ。〈山王〉ってご存知ですか?」
「ああ」
 洋樹が頷く。
 瞳のアパートのすぐ近くにある

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MAD LIFE 169

MAD LIFE 169

12.危険な侵入(2)1(承前)

 改札口を抜けた洋樹は昨夜の話を続けた。
「……で、長崎は最後にいったんだよ。瞳に向かってね。『お前の兄さんに伝えてくれ……フェザータッチオペレーション』って」
「なんなんです? その〈フェザータッチオペレーション〉というのは」
「それを知りたいのは俺のほうだよ。だから、おまえにも訊いたんじゃないか。真知っていう女の子が、この名前を口にしたんだろう?」
「そう…

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MAD LIFE 168

MAD LIFE 168

12.危険な侵入(1)1

「フェザータッチオペレーション? そういえば、あの娘がそんなことをいっていたなあ」
 満員電車の中、中西は洋樹の質問に首をかしげながら答えた。
「知っているのか? フェザータッチオペレーションを」
 洋樹が中西の肩をつかむ。
「真知のいうことだから、あまり信用はできませんけど」
「真知?」
「あ」
 自分の失言に気がついた中西は慌てて口を押さえたが、もはやあとの祭りだ。

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MAD LIFE 167

MAD LIFE 167

11.フェザータッチオペレーション(16)4(承前)

「食事が終わったら出ていくんだぞ」
 味噌汁に手をつけながら、中西はいった。
「冷たいのね」
 テーブルに肘をつき、上目遣いで真知がこちらを見る。
「だって、俺は君となんの関係も……ん?」
 中西は眉をひそめた。
「なんだ、この味噌汁?」
「おかしい?」
「全然、味がしない」
「あ、やっぱり。だって、お味噌が残り少なかったんだもの」
「新しい

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