癒し慰めよ、己自身を
年の瀬です。というか、これを書いている今日はクリスマスです。
やはりクリスマスが週末に来るというのは、世のカップルの皆様からすればありがたいことなのでしょうか。僕はもう今更クリスマスが来たくらいでいちいち喜んだり「わーい!」的な、「やったー!」的な気持ちにはなりません。ただ粛々と日々を過ごすのみです。僧侶のメンタルです。ひいおじいちゃんのスタンスです。もうそれでいいのです。日々の小さな幸せに少しだけ微笑むような、そんな微かだけど確かなものがあれば良いのです。大きな感情の昂りなど僕には必要ないのです。そういうマインドに生きていきますので。
なんて、何故か斜に構えておりますとスマホの通知が鳴りました。普段遊ばせて頂いている某アプリからです。「クリスマスキャンペーンを実施します」とのこと。あぁはいはい、と。この時期そういうのやるよね、と。そう思いながらアプリを起動しましたところ。
わーい!やったー!サンタさん、ありがとう!!嬉しすぎてツイートしちゃったもんね!サンタスライムヘッドとやらは全然いらんけど!
あとスクショ撮り忘れたけど、この特典を元手にクリスマス限定ガチャをひいたらベホマラー(全員のHPをそこそこ回復してくれる呪文)と蘇生呪文が使える星5の武器が2つもゲットできました!うちの賢者さんに持たせてます!至れり尽くせりとはまさにこのことです!
最高のクリスマスだよ!
……。
いや、これのどこが最高のクリスマスなのでしょうか。
考え得る『クリスマスの過ごし方ランキング』でも下から数えた方が早いように思えます。家から一歩も出ていないどころか、コタツから数分しか出ておりません。自宅で独りぼっちです。しかも無音です(書くとき気が散るから)。
自営業をやっている嫁は娘を連れてお仕事に行き、年末の健康診断では去年までの良くない結果に+αで更に良くない項目が増え、お仕事では一向に収まる気配のない例の感染症の対応に追われ、そのおかげで休日関係なく会社用携帯電話は鳴り、慢性腰痛には常に悩まされ、アニメ『チェンソーマン』の最新話は録り逃す始末。不幸です。僕は世界で一番不幸です。夢も希望もあったもんじゃありません。
そういえば去年も一昨年もこの時期に同じような愚痴を書いていたように思います。三年連続です。二度あることは三度あるなんて言うくらいですし、どうせ四度目になる来年もこうなります。もう知ってます。こうなるに決まっているのです。あぁもうつまんねぇ。生きるのつまんねぇな。かったりぃな。雁字搦めです。ストレスしかありません。我々人類はこれからもずっと永遠に不条理の鎖に繋がれて、理不尽の鉄球を引き摺りながら虚無へと進み続けるしかないのでしょうか。
否。
そんなはずはありません。そんなことがあってはなりません。あっていいはずなどないのです。現実が変わらないのであれば自分が視点を変えるしかありません。世界は多面体です。自分が一歩回り込めば今とはまったく違った見方が出来るはずなのです。生きていくということは、きっとそういうこと。仕切り直しです。取り返しのつかないことって意外と少ないんです。チェンソーマンもアマプラで観れるからもういいです。
今こそ希望をその手に。
そっちがその気なら。世界が僕に意地悪をするのなら。誰も僕を癒してくれないのなら。完全セルフサービスで己自身を癒し慰めましょうよ。
褒め称えましょうよ。崇め奉りましょうよ。
そして、自己肯定感を高めていきましょうよ。
今年も一年間頑張ってきたじゃん。このご時世ですよ。生きてるだけでもそこそこハードモードを越えてナイトメアモードなのに、生き延びれたじゃん。すごいじゃん。やるじゃん、なかなかやるじゃん、やるじゃんアイツ。ハートを磨くっきゃないじゃん。こうなったら。
よって今年も誰から求められるワケでもなく、勝手に「N-1グランプリ2022」の開催を宣言いたします!
今年はかなり白熱した戦いになりました。というかシンプルに総数が少なくて選ぶのがある意味難しかったりもしました。例年に比べると半分以下です。来年はもう少したくさん書きたいなぁ、なんて思っておりますが。それはそれとして。
過去の決戦も貼っておきますね。
では、今年もしっかり自画自賛していきましょう。
10位
【右半分だけ覗かせる】
2000字のホラーとかいうコンテスト形式の企画に応募したのですが、結果もはっきりと知らないまま気づけば選考から漏れていたという悲しき作品です。まず何よりもこれ、2000字ぴったりなんです。これがまず凄い。条件をきっちり守れる大人って素敵じゃないですか。当然お仕事などはそういった人に任せたいというのが人情というものですが、その辺はしっかりと押さえてあるのがさすが裕らくさんという感じですかね。やっぱこれで賞取って終わりじゃないですから。その先を見据えた作品ってところを評価して欲しかったのですが、審査員の皆様は審査前日に大規模な飲み会でもあったのかもしれませんね。二日酔いって判断力鈍るし。タイミングが悪かったな、と思います。実に残念です。あと、もう一つだけ選ばれなかった原因ってのを強いて挙げるとすれば「怪談としてあまり怖くない」という点でしょうか。(これが一番の原因のような気もします)
9位
【いつかと同じ風吹き抜けるから】
軽妙な語り口で紡がれつつも、どこか寂しく物悲しい儚さを感じます。この手の文章を書ける人ってnoteにもなかなか居ないんじゃないですかね。唯一無二の才能を認めざるを得ません。ここ最近めっきり寒くなってきましたが、それでもやっぱり夏のあのうだるような暑さに比べるとこちらの方が遥かにマシだと思ってしまいますね。本当にね。夏、もういいから。ろくなことないから。マジで夏ダサい。夏とかほんと古いから。超時代遅れ。
でも夏もそうだし、ずっと楽しく遊んできた“お祭り”とか“遊び”とか
“街”
とかさ。
やっぱりそれが終わっていくというか過ぎていくのを感じると、その瞬間に一抹の寂しさと郷愁に駆られちゃいますよね。
それを表現したこの作品が見事9位となりました。いや、素晴らしい。
8位
【透明人間だった僕が霊長類最弱の黒帯になるまで】
これは逆佐亭 裕らく作品全般に言えることですが、タイトルが秀逸ですよね。まず。名作の匂いを振り撒きに振り撒いているじゃないですか。その時点で評価できると思うんですけども。
これまたコンテスト応募作です。今年はnoteのコンテストに積極的に応募しようなんて年明け早々に宣言しちゃったもんで、そこそこ頑張りましたがなんだかんだで音沙汰無しですね。各方面すべて音沙汰がないですね。多分あちこちで最優秀賞とかは戴けているとは思うのですが、なんせ忙しくて結果発表を見ておりませんもので。僕がそんな感じだから最終的に他の書き手様が繰り上げ優勝みたいな形になっているのかな?なんて思うのですが、まぁいいんです。記録よりも記憶に残りたいので。記録も残したいけど。いい加減。
一歩踏み出すことの難しさと、それまでの日々と、踏みだした後のお話です。一人の気弱で無気力な少年が空手と出会って人生が変わった話です。笑えて懐かしめてそしてちょっとだけ泣けて気づけばスキを押忍。そんな作品です。おっ、うまいこと言えました。押忍。
7位
【直角三角形、角からいくか?辺からいくか?】
いわゆる“〇〇をやってみた”みたいなのって苦手というか、なんか、こう、なんだろう。自分なんぞが手を出してはいけない領域のような気がしていてですね。僕はなんだかんだ古い物書きですので。
で、これなんかはそういった趣旨の作品なのですが。けして悪くないのです。けして悪くないのですが、今読み返すと若干肩に力が入っているなぁ、なんて感じてしまいました。でも日常におもしろいネタはけっこう転がっていて、ついつい見落としてしまいがちな違和感をうまいこと作品に落とし込めたのではないかと思ったりもします。小さくまとまってしまった感は否めないですが、その驚嘆すべきテクニックでグイグイと読み手を引き込む才能は健在ですね。さすがです。これもコンテスト応募作ですね。デイリーポータルZさんのやつ。これ欲しかったなぁ…。審査員の人がパン派だったら可能性あったのになぁ…。ごはん派じゃあ仕方ないよなぁ…。選ばれんかった理由そこだけだもんなぁ…。
6位
【ごめんなさい神様よりも好きです】
THE BLUE HEARTSについては、いつか絶対に書きたいと思ってたのですが、もう愛が大きすぎて、というか愛ですらないというか一部というか全部というか、もうどう文字に落としたらいいかってのがわからなかったので書けずにいました。
ですが、僕もこういう大衆の面前で恥ずかしげもなく文章なんぞを書き始めて幾星霜。もうそろそろ伝えたいことの半分、いや、一欠けらくらいは書けるのではないかと。そう思い立って筆を執りました。
甲本ヒロトは神様なんです。でも神様でありながら、まぎれもなく一人の人間なのです。人間過ぎるほどの人間です。そこがまた素晴らしいのです。
数々の名作を紹介しだすとキリがなくなるので、僕の人生の分岐点で流れていた数曲をピックアップして書いてますが、もう本当にこんなんじゃないですから。僕の人生においてTHE BLUE HEARTSがくれたものは。興味がある人は今度一杯やりましょう。まぁ興味を持って然るべきなんですけどね。こんな素晴らしいものを読まされたら。引きずり込まれる筆力ってやつですよね。えぇ。
5位
【ハニー、君をジャマしたい】
本人に届くかどうかも不確かな渾身のラブレターです。
もう結婚して八年くらいの月日が経っております。昔のように恋愛のドキドキを感じることは、まったくではありませんが無くなってきております。それでも愛は形を変えて(所々形を変えずに)今も確かにここにあります。照れ臭くて面と向かってはなかなか言えないけれど、僕が死ぬときはこれのURLを伝えてから死のうと思います。というか、うちの嫁はこのアカウントも知っているので読まれている可能性も大いにあるのですが、その辺はまぁ、そうなったらそうなったで。というか、でもどうなんだろう。比較的、愛は伝えている方かもしれません。あぁ、もういいです。どっちでも。
僕と正反対で未だに新鮮な気持ちをくれるハニーへ、そして愛を知る皆様へ贈る今年最大のラブソング。それがこれです。『This is it』それがこれなんです。異論は認めません。でもどうしてもって言うなら認めます。仕方がないから。揉めたくないから。
4位
【動き出そう、新しい世界へ】
フリが効いてます。非常にフリが効いております。そして急転直下で展開が加速していく様は圧巻の一言に尽きます。ネタバレになっちゃうので何がとは言いませんが、これはすごい作品だな。年明け早々これを投下するんだから、裕らくさんったらニクいですよね。初笑いを掻っ攫いますよ。そりゃ。
話術として語ってもそこそこ面白いのですが、それを面白い文章として綴るのは至難の業です。それを難なくやってのけるこの才能。恐ろしいです。
ちなみにメガネですが、既にもう度が合わなくなってきております。この一年間でどんだけ視力が悪化してんだ、って話ですね。なんかの病気じゃなけりゃいいのですが。こわ。すみません。急にネガティブな話をして。
しかし、極端にスカートの短い女性と遭遇してしまうと本当に困ります。全然急いでいないのに無駄に早足になって、さっさと追い抜いちゃいます。スマホとか見たいのにポッケに仕舞っちゃいます。
気ぃ遣うわ。もう。とにかくエンカウントしたら、さっさと追い抜いて無関心を装って記憶から抹消するのが吉です。何の話ですか。これは。
3位
【華麗なる週末】
どうですか。このミスリード×責任転嫁。
これぞまさしく“緊張と緩和”ですよね。教科書通りのお笑いです。結局ベタなのが一番ウケるんです。最終的には皆さんが帰ってくる場所のような。老若男女問わず誰もがわかる笑いって最強だと思ってます。だからいい歳してすぐうんことか言っちゃうんですけど。
あと僕が一番好きな、というか言われたいツッコミのワードが
「お前が言うな」とか「お前や」なんですけど、そういう好みの問題もあってか、どうしても笑いのタイプが内向的で自虐的な方向へ行きがちです。かと言ってただただ自分を卑下しても仕方がないじゃないですか。noteの人達、みんな優しいからマジで心配されるじゃないですか。どう仕向けても「うるせぇ、この豚が」とか言ってくれないじゃないですか(何人か言ってくれそうな人も居ますが)。
だからここの匙加減が非常に難しいところなのですが、その辺のバランス感覚って言うんですかね。“当て感”みたいなのが非常に天才的なんですね。裕らく師匠は。こういうところが一線を画すところなんでしょうね。えっ何と?
兎にも角にも、言う事のない完全無欠の作品でした。
2位
【僕の初変をキミに捧ぐ】
これね。スキの数とか閲覧数も然ることながら、note公式さんにおススメされたりと実質1位でもいいのですが。今回は2位という結果になってしまいました。ハッキリ言って1位の作品とほぼタイです。これはもう単純に好みの問題です。優勝は決めないといけないですから。これもまた勝負の厳しさというやつですね。いや、僕一人でやってるので別にどっちでもいいんですけど。
日常に潜む狂気と笑い。もう行ったり来たりで目まぐるしいです。んで、最終的にはそれが悲哀になり、最後の最後で投げっぱなしにて終了。ここの無責任な爽快感もありますね。芸術点の非常に高い作品かと思います。そりゃ選ばれるよね。秀逸ですもの。
画像は一種類しか貼ってないのに、その都度どこか表情を変えるような『ゆみちゃん』に注目です。僕はもういいです。怖いので。なんだよ、ゆみちゃんって。未だに謎だわ。どんな発想だ。
さて。
ではいよいよ1位の発表です。
栄えあるN-1グランプリ2022、王者noteはこちら!
1位
【俺の残像でも追ってろ駄馬が】
はい天才。はい優勝。
全項目ほぼ満点です。すべてにおいてハイレベルな作品です。
ネタと技術の調和、秀逸な言葉遊び、引き込まれる構成力、爽やかにすら感じる疾走感。そして画像や、ぶっ飛んだ設定に頼りきっていないプライドと底力も感じさせます。底が見えない才能とはまさにこのことですが、この場合は底どころか天すら見えない才能です。吹き抜けです。才能が吹き抜けです。どういうことですか?僕ももうわかりません。とにかくすごいってことです。のーさいがごいすーなんです。すーを差し上げます。自分に。
約3000字あるんですけど、ここまで軽やかに駆け抜けるような文章だとついついあっという間に読み終わってしまって「もう少し読んでいたかったなぁ」みたいなさ。これって理想的なんですよね。エンタメもそうだし、料理とかもそうじゃないですか。上質なものほど、「ちょっと足りない」って感じさせるものなんです。まぁ3000字ってそんなに文字数多い方でもないんですけど。
なんというか無駄なものに全身全霊をかけたいんです。それって最高の娯楽だと思うんです。読んでる最中は最高に面白くて、読み終わった後には何も残らないし何の役にも立たない。そういう駄菓子みたいな文章をこれからも目指していきたいんです。これなんかはまさにそんな理想に近づいたものの一つなんじゃないか、と。
そういうことでN-1グランプリ2022、王者noteはこちらになりました。感謝感激。
*
【総括】
自画自賛で7000字以上も書くというこの愚行もいよいよ三年連続でやってしまいました。誰が読むねんとか、誰が得するのか、とかそういうのはもうどうでもいいんです。年の瀬くらい己を全力で、手放しで労わってあげましょうよって話なんすよ。明日からはまた「どうせ俺なんて……」って部屋の隅っこで膝を抱えて呟くような生き方をしていくんですから。これはもう性格ですから。こんなときくらいさ、好きにさせろってんだ。ちくしょう。
しかしまぁ、いろいろとありまして今年はnoteをあまり書かなかった一年でした。今年の初めに「これをやるぞ」と掲げた目標の半分以上も達成できておりません。別に誰に何か言われるワケでもないのでいいのですが、来年はこうなんというか、漠然としているかもしれませんが、というか毎年同じ気持ちで居るのですが。
ずっと面白いことやっていきたいです。
文章を書くのって究極の個人プレーじゃないですか。いや、勿論文字に落とすまでの工程とか、広い意味ではそうじゃないんですけど、でもキーボードを叩いて言葉を紡ぐのは他でもない自分自身でしょ?その間だけはすべての責任と功績が自分に乗るんですよね。なんか、それってたまんないですよね。それがたまんなくて僕は文章を書き始めたんだよな、って思い出したんです。そんで、その文章で面白いことを形にしていこうってのも。
出来る限りここでその“面白いこと”をやってのけたいですけど、もしかしたら場所や手段はここじゃなくなる可能性もあるし、こんなことを言っておきながら他のことに目移りしてノーモーションで消える可能性も否定はできません。でも多分、僕はきっとどっかで面白いことを追い求め続けていると思います。その道中でまたお会い出来たら最高だな、って思います。
そんな感じです。いや、まだ全然ここに居座りますけど。そんなお別れモード出さないでよ。寂しいじゃないですか。やめてよ。
2022年も本当にお疲れ様でした。大変お世話になりました。
良いお年をお迎えください。
自画自賛の祭典、N-1グランプリ2022でした。
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