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インフレ政策が最大の成長戦略

2021年10月のアメリカの消費者物価指数が6%超となったが、日本の物価は0.1%で、インフレとは程遠い現状だ。新聞などには各国中央銀行のインフレ懸念が伝えられているが、日本は欧米とは全く状況が異なることは理解しておかなければならない。

安倍政権以降、政府日銀は物価目標2%を掲げているが、コロナ前でもこれを達成できていない。コロナ後は再びマイナスに転じ、今、コロナ禍からの回復期にあっても、日本だけは一部原油などを除き、まったく物価が上がっていないのが現状である。

安倍・菅政権につづき、岸田政権でも「金融緩和」「財政緩和」「成長戦略」の3本柱は、言葉を変えながらも建前としては残っている。これまでの政策評価は、金融緩和や財政緩和はいいが成長戦略は機能していない、というものが主流だ。

成長戦略の根本は投資の増額である。規制緩和も必要だが、それは企業の生産意欲を高め投資を呼び込む手段である。いくらルールだけ変えても、生産手段や人にお金が集まらなければ、生産力・生産効率の向上は望めない。

企業が投資を行うのは、つまり生産力や生産効率を向上させ供給を増やそうと思うのは、それだけ需要が増えると見込めるからだ。端的に言えば「儲かる」と思うからだ。投資家も、企業が儲かると思うから企業に投資する。そして儲かるという見通しのためには、インフレがある程度進まなければ難しい。

インフレが進むということには2面ある。

ひとつは、需要が高いからインフレが進むという面である。人々がモノをたくさん買うようになればモノが不足し価格が上がる。結果としてのインフレだ。

もうひとつは、インフレが進むから需要が高まるという原因としてのインフレという面だ。日銀が金融緩和でお金を回せば市中銀行のお金が増える。そのお金は企業や個人への貸し付けになる。また財政出動で公共需要が増えれば受託する企業にお金が回る。働く人の給与にもなる。企業や個人から見れば、使えるお金が増えることになる。企業は新たな設備投資をし易くなるし、個人も消費しやすくなる。いずれも、インフレ政策により民間にお金が増え、それによって需要が高まる効果がある。

こうして需要が高まれば、企業も投資家も投資意欲が湧く。その時の投資先をちゃんと用意しておくのが、成長戦略の意味である。

いくら成長戦略を整えても、それ以前の需要が高まらなければそもそも投資しようという気にならない。投資意欲がなければ、規制緩和などでルールだけ整えても意味はない。

そして需要を高めるためには、さらなるインフレ政策が不可欠なのである。

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