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お片付け|「ものを手放せない」私たちの意識と、幸せの感じ方、美しさ

「昔気に入っていたワンピース、あったらいつか使う」
「捨てて後悔したら嫌だ」
「手放したらきっとあとで困るはず」

そうした理由で、ものを手放せない……
むしろ、「なぜ手放せないのか」を考えることもない……

それは、ごく普通の感覚だと思います。

なぜ、未確定のことにこだわってしまうのか。まだ見ぬ未来に不安を感じてしまうのか。それは人の根本的な本能の部分にあると思うのです。

■人はリスク回避能力が高い

私たちの脳は、それはそれは賢いのですね。
実際起きていないことを、「こうなるかも・ああなるかも」とさまざまな部分から考察し、リスクに備えようとします。


地球に命が生まれた瞬間から、私たちへとバトンが渡るまで、そうやってリスクを回避して命をつないできました。

しかし、現代において命の危険がおびやかされることは、だいぶ減ったといっていいでしょう。もちろんゼロではないですが、氷河期の人類と比べると、はるかに便利な暮らしになっているのは確かです。

しかし今でも、私たちは「もしこれがなかったら……」と、リスクを予測します。それを回避する対策を練ることで、安心感を得ているのかもしれません。


でも考えてみてください。そこまで予測を重ね、対策を練られる私たちです。現代において、物事が起きてから対策することだって、十分にできる能力を備えているとは思えませんか。

■ネガティブなことは大きく感じがち

『選択的知覚』という言葉があります。

例えば、「妊娠したい」と悩み始めた女性が、今日に限って妊婦さんばかりを目にとめてしまう。実は、それまでと同じくらいの頻度で出会っていたとしても。
「なんで私だけ妊娠できないんだろう、周りはみんな妊婦さんばかりなのに」

この選択的知覚、ポジティブな内容よりも、ネガティブなことのほうが大きく感じられるのだそうです。なぜかというと、ネガティブなことのほうが、命の存続にとって脅威的だからですね。
かつての人類は、足元に咲く美しい花に見とれて、横に潜むサーベルタイガーに気づけなければ、一巻の終わりだったわけですから……

それが今、「昔1度、捨ててしまって困ったことがあったなぁ。だから、とりあえず全部持っておこう」という思考につながっていく。

私たちの頭の中では、常にリスク回避に関することが展開されているのです。しかし、現代においてはその心配事の96%は、実際には起きないといわれています。

もちろん、地震対策など自然災害に対する備えは必要ですね。
でも誰かにバカにされるのを防ぐために、使わないワンピースを持ち続けることに、なにか意味はあるのでしょうか。

■3%の意識が舵取りをしている

いろいろな説がありますが、私がよく読む本では、「意識は3%、潜在意識は97%」だと書かれています。

私たちが自分で認知している部分は、脳のたった3%にすぎないのです。私たちの本質的な生きる部分は、97%の無意識、自律神経系などが担っています。

私たちの発達した大脳新皮質は、さまざまなことをイメージし、現実を理解しています。でも、実際認識しているのは3%にすぎないという……

しかもこれ、人間にしかない能力なのですよね。


でも、私たちはこのイメージする力によって、ものを捨てられなくなったり、不安になったり、生きることそのものをつらく感じたりもしてしまいます。

嫉妬したり、苦しんだり、もがいたり……

でも、この3%の存在が一番輝くのは、「生きる喜びを感じる」ときじゃないかと思うのですよ。

動物は実や花を見ても、本能的に「食べられる・生きられる」としか認識しません。でも、人はそこで「美しい色だ、癒される香りだ、心揺さぶられる味わいだ」と複雑に思考できるわけです。

五感で感じる、光の輝き、心落ち着く香り、耳を優しくなでる音。
それを今、心地よいと感じること。

ものにあふれて、片付け方も分からなくなり、なんとなく毎日不満を抱えている……それは本当に、もったいないことのような気がします。


この瞬間の生きる喜びを感じられるのは、大脳新皮質が発達したからで、だからこそ苦悩するわけですが……
やはり快だけでは、幸せを感じにくいのだと思うのです。

そして、かつての人はもっと潜在意識に頼りながら生きていたのだと思います。肌感覚や空気のにおいや空の色で。


私は「宇宙や神とつながる」とかはピンとこないのですが、「潜在意識=本能」が地球に生命が誕生した瞬間から私たちまでつながるもので、それが宇宙や神だと言われたら、その通りだなと思うわけです。

生きるための本能的な知識や能力は、頭のなかにしっかりあるはず。

 
意識の部分は、自分が世界をどう見つめて、どう生きたいかの舵取りをするところ。あなたは、どんな暮らしをしたいのですか?

実際に生きるための知恵は、潜在意識の担当。無理に考えなくても出てくるものです。ものを整理していて、リズムが掴めるとテンポよく手放せるようになるのもそう。

不安の少ない暮らしとは、物質の量に頼らなくてもいいところだと思うのです。

■つらさもすべて美しい経験になる

マイナス感情にフォーカスしやすいのも、人の才能といえますね。

私は13年前にオーラソーマというカラーセラピーを習いましたが、そこで一番心に残っているのは、「過去の壮絶なトラウマも、色にすると全て美しい」ということでした。


私は以前、美しいものとはなんなのか、ずっと考えていました。

人が美しいと感じるものは、黄金比。自然界にあるものは、フィボナッチ数列という比率で規則正しく展開しています。

それをつくっているのは、なんなのか。遺伝子、DNA。
DNAは、生きるすべての存在が持っているもの。


しかしDNAが完璧な存在かというと、エラーは起こすし、ずっと同一の形で残り続けるわけではないですね。でもそのゆらぎが、さまざまな個性を生み、環境に順応する力を生み、今私たちにつながっているわけです。

たぶん人という存在は生まれてきた時点で価値があり、不完全で完璧で美しいのです。

ありのままの自分を受け入れること。
まぁ、これは私もまだまだ、難しくて道半ばですけれど。

でも、今あなたが「自分に欠かせない」と信じている、古いワンピースを手放してみても……あなた自身の価値は変わらないから大丈夫なのですよ。


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