読書メモ『三体Ⅱ 黒暗森林』劉慈欣と未来予想図
『三体Ⅱ黒暗森林』を読み終えました。Audible なので読んだというより聴いた、ですが。『三体』の200年後の話。キーパーソンは冬眠して、また登場します。400年後に宇宙人が攻めてくることを知ったら、何をするでしょうか? 絶望しても自分が生きている間に起こることではありません。未来や子孫のために何かするでしょうか?
『三体』以上に突飛で刺激的なストーリー展開でした。
人工冬眠して185年後に目覚めると、いろいろな物が進化して変わっています。未来の描写が興味深いです。今から200年前といえば江戸時代末期、いろいろな物が大きく変わるのは当然ですね。
自分の半生50年くらいでも大きく変わっています。
私が生まれた時に我が家にはテレビはまだありませんでした。幼稚園のころテレビが家に来ます。私はこの魅力的な箱にとらわれて、テレビっ子になりました。小学校5年生の時、朝の会で学級委員長がテレビは『サンダーバード』しか見ませんと言って皆んなからそれは嘘だと冷たい目で見られました。皆んなテレビにはまっていました。
『鉄腕アトム』はありえない夢物語だと思っていました。でも今では二足歩行も音声合成も、音声認識も可能になっています。たった50年で鉄腕アトムは有り得る物になりました。まあ、原子力エネルギーでは動いていませんが。
『ウルトラセブン』のウルトラ警備隊の腕時計型の「ビデオシーバー」も憧れでした。今ではApple Watchがそれを実現しています。
秋田の小学校の先生が、何かの時に、壁掛けテレビと田植え機はそう簡単にはできない、できたら画期的だと言ったことが忘れられません。どちらもすでに実現しています。
『謎の円盤UFO』のキラキラしたピタッとした衣装は未来感があって憧れましたが、今見ると普通ですね。未来予想図に描かれている衣装はたいてい銀色の宇宙服のような服でしたね。三体IIの光る衣装は現代ならではの未来感です。
電話器は家に1台しかなく、リビングの電話台に鎮座していました。私は家族に聞かれないところで彼女に電話したくて、秋葉原で中古電話器と切り替えスイッチを買ってきて、自分の部屋に引きました。それが今では個人持ちの携帯電話。2022年6月現在の携帯電話累計契約数は1億9565万件だそうですよ(出所:一般社団法人 電気通信事業者協会)
私は大学では計算機工学を専攻したのですが、まだパソコンなどは無く、コンピュータ室の大型コンピュータに、パンチカードにFORTRAN
(フォートラン)のプログラムを1行ずつパンチして利用していました。パンチカードの束を読み込ませると、結果は翌日プリントアウトされて出てきました。今では、スマートフォンはパソコンですからね。iPhoneのショートカットアプリはプログラミングツールみたいなものです。
「自動掃除機」は実現しました。
「無人タクシー」や「無人バス」ももうすぐ実現されますね。「エアカー(空飛ぶ車)」はどうなるかな。
三体に出てくる「人口冬眠」は2030年には実現するかもしれません。
「宇宙エレベーター」もカーボンナノチューブの発見で、具体的な建造計画もあります。
三体は突飛なSFですが、ありえそうな近未来のようにも思いました。
『三体II』のキーワードは黒暗森林理論の2つの公理です。
公理1は「生存は、文明の第一欲求である」
公理2は「文明はたえず成長し拡張するが、宇宙における物質の総量はつねに一定である」
難しい。そして「猜疑連鎖」と「技術爆発」が加えられます。
面白いですよ。
次は『三体Ⅲ 死神永生』、まだまだ続きます。
●参考
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