見出し画像

デザインの力でフードロス問題に向き合う!クラダシ×Goodpatchが専修大学でワークショップを開催


7/9(金)に、クラダシとGoodpatchの合同開催で、専修大学の青木章通教授のゼミにて、デザインの力でフードロス問題を解決するビジネスプランを考えるワークショップを開催しました。

フードロス削減に取り組むソーシャルグッドカンパニー・クラダシと、デザインの力でビジネス課題を解決するデザインカンパニー・Goodpatch、専修大学にて経営学/アカウンティングを専門とする青木章通教授のゼミという、3者のコラボレーションでどのようなワークショップになったのか、当日の様子を紹介していきます。

▼クラダシとGoodpatchの過去の取り組みはこちら
・Goodpatchによる「SDGs促進を志す企業」への無償デザイン支援プログラム
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000086.000014485.html

・クラダシの価値言語化ワークショップ
https://goodpatch.com/blog/sdgs-design-kuradashi202105

開催の背景と概要

「日本で最もフードロスを削減する会社」を目指し、事業を展開しているクラダシと、デザインの力で企業の課題解決に取り組むGoodpatchで、次世代を担う学生に向けて、フードロス問題について考えるきっかけを作ると同時に、社会課題をデザインで解決する体験を届けたいという思いから、専修大学・青木章通教授のゼミでワークショップを実施する運びとなりました。

今回のワークショップは、学生が実際に「クラダシの社員」になったつもりで、フードロス削減のビジネスアイデアを考えるプログラム。
短い時間の中で、デザイン思考の考え方を学びながら、課題解決に取り組む内容となっています。

【アイスブレイク】フードロス問題について意見交換

まずはじめに、学生たちがそれぞれフードロス問題に関して思っていること、知っていることを共有するアイスブレイクからスタート!

スクリーンショット 2021-07-15 152851

飲食店でアルバイトをしている学生が多かったため、下記のような意見がどの班でも挙がっていました。

飲食店のバイトをしているが、毎日大量の廃棄が出ている。お客さんの食べ残しも多いけれど、仕込みすぎ・食材の購入しすぎで捨ててしまっているケースも。毎回、もったいないなと感じている。

一方、フードサプライチェーンで発生するロスや、家庭で出ているロスについてはあまり考えたことがない・知らないという声がほとんど。

Goodpatchによるサービスデザイン概論

アイスブレイクを終え、フードロス問題を解決するビジネスを実際にどのように検討していけば良いのか、Goodpatchが「サービスデザイン概論」にて説明。

画像11

「デザインとは何なのか」という話から始まり、ビジネスの場で必要なデザインの要素、体験デザイン(UX)など、
「そもそもデザインってよくわからない。デザインといえば、アートや広告クリエイティブのイメージが強い。」という理解であるような学生にも分かりやすいよう説明いただきました。

今回のテーマである、「フードロス問題を解決する新しいビジネスを生み出す」を達成するために、
以下の5つのステップを何度も行き来しながら、課題解決のためのデザインを学びました。

スクリーンショット 2021-07-14 123523

・SETUP(セットアップ):チームメンバーで解決する課題を決める
・PROBLEM(プロブレム):本質的な課題であるインサイトの深堀り
・SOLUTION(ソリューション):アイデアを出し、解決策を検討する
・DEVELOPMENT(ディベロップメント):解決策を、ユーザーが使えるプロダクトへと変えていく
・MARKET(マーケット):マーケットに公開するための準備・公開

クラダシのビジネス・フードロス問題の紹介

続いてフードロス問題や、クラダシが現状どのように課題解決に取り組んでいるかを共有。

画像11

・日本は国内消費の約6割を輸入に頼っているにも関わらず、年間約612万トンものまだ食べられる食品を廃棄している状況
(国民全員が毎日お茶碗一杯分のお米を捨てているのと同じ量)

・3分の1ルール*と呼ばれる日本の商慣習を代表とする、様々な理由により、日本は世界でも有数のフードロス大国となっている
(*賞味期限の1/3以内で小売店舗に納品するという慣例)

・フードロス量の半分以上は、食品事業者で発生している。さらに、事業系フードロスの中で飲食店で生じるロスは半分以下。製造メーカーや小売など、フードサプライチェーンで発生するロスの方が実は深刻な問題

・現在クラダシは社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」で、様々な理由で廃棄される商品を消費者とオンラインでマッチングし、売上の一部を社会貢献団体に寄付している

など、学生にとっては馴染みの薄い、フードサプライチェーンで発生するロス問題を、クラダシがどのように解決しているか説明し、
これから「クラダシ社員」として、新しいビジネスを考えてもらうために必要な前提情報をインプットしてもらいました。

スクリーンショット 2021-07-14 173932

クラダシの話をふまえ、以下A~Cで自分たちが解決に取り組む課題を、各班選んでもらい、いよいよ実際のワークに進んでいきます。

A.フードサプライチェーンで発⽣するロス問題
B.飲⾷店(レストラン、ホテル等)で発⽣するロス問題
C.家庭内で発⽣するロス問題

【ワーク1】関係するステークホルダーの洗い出し

まずは、選んだ課題に関わる人(ステークホルダー)を洗い出し。
ポストイットに書き出していきます。

画像11

改めて❝食❞に関わる人を洗い出すと、普段は意識していないけれど実は多くの人が関わっていることに気がつきます。
単に「消費者」とひとくくりでまとめるだけでなく、さらに細分化し「ひとり暮らしの人」「大学生」「主婦」「家族のご飯をつくる人」など具体的にすることで、イメージが付きやすくなりました。

【ワーク2】ステークホルダーのペイン(困りごと・不満)の洗い出し

次に、洗い出したステークホルダーの抱える不満・困っていることを考えていきます。

画像10

手が止まってしまった際に、「『◯◯が嫌だなあ』というように登場人物の心の声を書くようにするといいよ」というアドバイスを受けたことで、不思議とどの班も進むように。
様々なステークホルダーに憑依しながら、想像力を働かせてどんどん不満を出していきます。

【ワーク3】課題解決に最も重要なステークホルダー(対象者)と、ペインの選定・深堀り

ワーク1・ワーク2で挙げた、「どの人」の「どの課題」が解消されると、問題が一番大きく解決されるかを考え、対象のペインを選定。
ワーク2で対象者個人に寄り添って気持ちを想像していた時間から頭を切り替え、全体を俯瞰し、本質を見極める必要があります。

選定後は、対象者の課題をさらに深堀り、考えを深めていきます。

【ワーク4】課題解決のアイデア検討

最後は遂に、3で選んだ対象者の課題を解決するための、ビジネスアイデアを検討!

今まで考え抜いた課題に対し、どのようなビジネスモデルが最も効果的かを考える、楽しくも大変な時間。
課題の解決と、経済性(事業として成り立つか)の両立が難しく、どの班も頭を悩ませていました。

画像9


「クラダシ社員」の立場になった際に、どのような解決策であればフードロスの削減とクラダシの事業成長に繋がるのか、
短い時間で考えの発散と収束を繰り返しながら、熱く議論を展開し、絵や記号を使ってメンバーの考えを整理していきます。

最終発表!

最後は、他の班の学生や、青木先生、Goodpatchとクラダシの社員に、自分達のビジネスプランを発表!

時間締め切りギリギリまで粘り、最後まで練ったアイデアのフィードバックをもらいます。

画像11

ビュッフェ(食べ放題のレストラン)は閉店間際であっても豊富な料理を揃えていなければいけないが、そのことが深刻なロス問題に繋がっているというジレンマを解決するアイデアや、家庭系ロスを削減するためのSNS情報サービスなど、多種多様なビジネスプランが発表されました。

画像11

参加した学生のコメント・感想

どうしたら対象者の不満や困りごとを解消しつつ、利益と両立できるのかを考えるのが、難しくも楽しかったです。短い時間にみんなで意見を出し合ってアイデアを練り上げる貴重な機会でした。普段から、色々なことにアンテナを張っていきたいと思います。
フードロス問題についても、1/3ルールなど初めて知ることが多かったですが、結局消費者の考え方を変えることが商慣習をなくすことにも繋がるため、当事者意識を持って今後生活をしていきたいです。

(専修大学経営学部3年 飯野勇大朗さん)
授業だとどうしても、正解に近いか遠いかで評価をされることが多いですが、今回正解が全く決まっていない中で色々と考えを深めていくという貴重な経験ができました。
課題の解決には繋がるが、経済面で「ビジネス」としては成り立たないというアイデアを、どうブラッシュアップして発展させていくかをメンバー全員で考える時間が、勉強になりました。
また今回、物流の過程で生まれるフードロスが多いことに驚いたと同時に、消費者に届く前の過程でも、自分たちの意識や行動が大きく影響すると感じました。

(専修大学経営学部4年 我妻拓郎さん)

クラダシ・Goodpatch・青木教授のコメント・感想

まず、グッドパッチさんのワークショップの内容が素晴らしく、そして青木ゼミの学生が真摯に取り組んでくださったことにより、僕らにとって非常に有意義な時間でした。
グッドパッチさんのサービスデザイン思考によって、青木ゼミの皆さんから出てくるアイディアやセンスは、プロダクトを育てていく観点で新たな気づきを得たり、刺激を受けるものばかりでした。
また、これをきっかけに少しでもフードロス問題に対する意識が芽生え、社会課題をビジネスで解決することにチャレンジする動きが伝播していくことを願っています。

(株式会社クラダシ 人事広報部長 徳山耕平)
クラダシさんのようなソーシャルエンタープライズ(社会課題の解決を通じて成長を目指す企業)にとって最も必要なことは”ただのお客様ではなく、理念に共感し、同じ目標に向かう「仲間」を増やす”ことだと考えていました。
・社会課題は楽しく解決できること
・社会課題の解決と経済成長は両立できること
・自分が解決の当事者になる時に役立つ思考ツールや態度
と言ったことを少しでも学生の皆さんにお伝えできていたら、つまり理念に共感する仲間を増やすお手伝いができたのだとしたら、すごく嬉しいです。
またやりましょう笑!

(株式会社グッドパッチ 長友裕輝さん)
学生にとって、授業で学んでいる経営学の内容を捉え直す素晴らしい機会になりました。フードロスという学生の多くが目にする社会的課題をビジネスの観点から考えること、問題の解決方法を闇雲に議論するのではなく議論の過程を設計して議論の質を上げていくこと、どちらも新鮮な経験だったようです。
ファシリテーションも素晴らしかったため、学生の笑顔の絶えないワークショップになりました。日ごろ学んでいる経営学の知識を知識のまま終わらせず、実社会で使える形に昇華させたいという目標が達成できたと感じています。

(専修大学 青木章通教授)

デザインの力でフードロス問題を解決

今回3時間弱という短い時間でしたが、学生の皆さんが脳に汗を沢山かきながらビジネスアイデアを検討するという、とても内容の濃いプログラムとなりました。

フードロスという社会課題を、デザインの力で解決するという正解のない問いに学生が向き合い、メンバーで議論し、何度も考えを行き来しながら形にしようとする姿に、クラダシ社員・Goodpatch社員ともに刺激とエネルギーをもらいました。

今後もクラダシは学校との連携を強化し、学生に社会課題×ビジネスについて考えてもらうきっかけを届けると同時に、「日本で最もフードロスを削減する会社」というビジョンを達成するため、デザインを使いながらさらなる課題解決に努めていきます。


またクラダシでは、地方農家の課題解決に挑む社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」や「KURADASHI」の事業運営に携わる長期インターンなど、学生の社会参画の場を広く設けています。
興味を持った学生は、ぜひエントリーしてみてください!
※中途採用も大募集中です!


▼短期(5日間~10日程度)
社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」


▼長期(6か月以上)
ショッピングサイト「KURADASHI」での長期インターン


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?