見出し画像

「渋谷系」若杉実(著)シンコー・ミュージック

はい、第二回目の投稿です。早速、かなりの長文です(苦笑)。是非とも最後までお読み頂けたらならば幸いです。さて本文へ。

私の嗜好

好きになると、さらに“如何にそうなって行ったのか?”を掘り下げたくなるのが私の常であり、その行為の結果「アイツはオタクだ!マニアックだ!」なんて言われ方をします。私の場合は、音楽を筆頭に、プロフィールでも上げている事柄が該当しています。
けど本人にとり、それは最大の賛辞、誉め言葉なんですね。

渋谷系と若杉氏

さて本題の「渋谷系」。
これも音楽好きで、ジャンルに問わず音楽のルーツを辿っていくと、一度は耳にしたことがあると思います。ただ具体的に「渋谷系て何?」と言われると、どう説明できるのか?

著者の若杉氏は、“渋谷系”と言う言葉が誕生する前夜から、やがてそれが過去のモノへとなった東京/渋谷の音楽シーンに携わり、間近で体験されていた方。その若杉氏が、当時の渋谷で、様々な立場から音楽に携わってきた人達に、その頃の出来事を取材して上で、若杉氏自身の所感で“渋谷系”を総括した内容となっています。

本書によれば、それは誰による造語だったのかは、つきとめられなかったものの、少なくとも1993年には“渋谷系”と言う言葉が誕生しており、1996年あたりまでが、いわゆる“渋谷系”と呼ばれた音楽が渋谷発信で東京をはじめ、全国の音楽シーンに影響を与えていたとあります。

趣味は音楽

「音楽を聴く」と行為が自分のなかでウェイトを占め始めて、「一番の趣味は音楽を聴く事」と私が自覚し出したのが中学3年でした。まあ当時はレゲエとの出会いが衝撃的で、レゲエが大好きになってしまったのが原因で一番の趣味と言えるようになったのですが、それがちょうど渋谷系と言う造語がメディアに出始めた時期と重なります。

なので、当時の私の記憶を遡ると、渋谷系と言う言葉自体は、ほぼリアルタイムで認識していたと思いますが、いかんせん私自身の視野もまだまだ狭くて、渋谷系を色々知ろうと言うレベルには達していませんでした。

自分が思う渋谷系

本書を読み終えて、“渋谷系”とは時代の産物だったんだなと言う事。そしてそれらは、まだインターネットが普及していなかった時代ならではと言える“人の力”が大きく左右していて、今のようなネットでの一人歩きではなく、そこに携わった人達全員が主役級の動きをしている事。
真っ向から音楽と深く向き合い様々な場所に実際に足を運んだり、はたまた音楽に関係するカルチャーやトレンドなど察知して、フリーペーパーを作成し配布して、文字通り手作業でシーンつくっていった一大ムーブメントだったと言えます。あと渋谷と言う街全体のパワーも凄く有り、マンパワーならぬタウンパワーとも言うべき発信力がみなぎっていたと思います。

ただ、当時“渋谷系”と言われるものに実際に携わった人達全員は、私が上記で述べたような「主役級の動き」を意識していたかと言えば、きっと違うと言うと思いますが……

90年代における渋谷系の立ち位置

昨今、なにかと注目される90年代のカルチャー。音楽と言うトピックだけでも90年代を語る上では、外せない東京のシーンで、間違いなく“渋谷系”は時代の寵児とも言える存在であり、のちに与えた影響力は今となれば凄まじいものがあります。ただ渋谷系と言う線引きは曖昧な部分もあるので、私自身もうまく表現できないですが、


90年代(特に前半) ≒ 東京の音楽シーン ≒ 渋谷の音楽 ≒ 渋谷系 


と、大まかにこんな感じだったのかな。まあ最後の「渋谷の音楽 ≒ 渋谷系」と言う部分はかなり強引なので「当時、渋谷で活動していたアンダーグラウンドなレゲエやヒップホップのアーティストはどうなるんだよ!?渋谷系なのか?」と異論が続出しそうですね(苦笑)一部は該当しても全ては当てはまらずですね、失敬(笑)

90年代の啓示録

東京において昨今、本書のように90年代の音楽シーンを振り返るにあたり、様々な媒体が発信するのを興味深く観させてもらっています。そこには実際に携わった人達の貴重なインタビューがあったりと、より具体的に知る事が出来てとても興味深い事ばかり。


そして私が在住している関西でも、最近レゲエ・シーンに限って言えば、STEREO CRAVAのOBA-P氏がYouTubeにて関西におけるレゲエの歴史を、シーンを構築していった様々なアーティストに出演してもらい、当時のシーンを語ってもらう企画をされていて、私自身も興味深く視聴させてもらっています。

OBA-P氏の行動力は、本当に素晴らしくて頭が下がります。
この動きがヒップホップやハウス、ロックなど他ジャンルにも飛び火して、いずれは90年代の関西の音楽におけるアンダーグラウンド・シーンを歴史として残す動きがあればいいなあと、切実に思っています。
まさに温故知新!

この記事が参加している募集

スキしてみて

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?