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『しあわせしりとり』イラストレーター益田ミリのエッセイ集!日常の幸せをつないでいったゆるゆるな1冊

さて、本の紹介の前にクイズ!ちょっとこちらをご覧ください。

椎名林檎さんの『勝訴ストリップ』というアルバムのタイトル
です。あるルールが隠れているのですが、気づくでしょうか?

虚言症
浴室
弁解ドビュッシー
ギブス
闇に降る雨
アイデンティティ
罪と罰
ストイシズム
月に負け犬
サカナ
病床パブリック
本能
依存症

こういうの、楽しくて好き。

正解は「曲名がシンメトリーになっている」でした。細かく言うと、伸ばし棒や小書き文字のズレはあったりするけれども。

なんでこの話をしたかというと、今回ご紹介するエッセイ集『しあわせしりとり』の目次にも、これに通ずる仕掛けがあったから。

どんな仕掛けかは、本のタイトルから予想できると思いますが、こういう「ふふっ」要素も含めて、しあわせな気分にさせてくれるエッセイでした。




ゆるゆるしあわせな日常を、のんびり味わえる1冊


エッセイの内容は、なんてことない、日常をゆるーく語ったもの。なので、読んでためになるとか、知識が増えるとか、そういう類ではない。

なんかさ、読書にも気分があるじゃないですか。

ガリガリ活字を消化したくて、長編ミステリー読みたいときとか、脳みそ使う元気は残っていないけど、活字に触れて気分だけ整えたいときとか。

この本は、後者の気分のとき用!疲れていると、本の内容が全く頭に入ってこないときがあるけれど、読書が好きだと、「でも本は読みたい」って、あるあるだと思うのよね。

そんなときに、のんびり読みたい1冊だなと思う。

しりとりには人生が出る。人柄が出る。


そもそも、この本を読むまで「しりとり」について深く考えたことなかったんだけど。しりとりは深い。気がする。

おそらく、世のしりとりのスタートの大半は「しりとり→りんご→ごりら→らっぱ→ぱんだ」のイントロを経て、色々な方向に旅立っていくと思う。

出てくる単語って、その人のこれまでの経験とか、日常が透けて見えたりすると思うの。益田さんも、赤ちゃんが生まれたばかりなら、「りんご」ではなく「りにゅうしょく」を思い浮かべるかも、って語られてて。

で、人格も出るよね、っていう話に「ふふ」ってなった。

しりとりで負ける人が好きだ。「めろん」と言いかけて、「ん」で終わることに途中で気づき変更しようとしたものの、結局「めろんぱん」で負けてしまったオトナをわたしは知っている。おおらかだ。素敵すぎる。しりとりで負けないうちは人間まだまだという気さえする。

身近な人と、無性にしりとりがしたい気分になる1冊でした。べつに、しりとりの話は、本の冒頭でしかしてませんが。

のんびりしあわせな気分に浸れたので、ちょっとお疲れ気味の方は、ぜひ。

■この本が気に入った方には、こちらもオススメ

お笑いコンビ、阿佐ヶ谷姉妹のお2人が、交互につづっているエッセイ集。2人が住む阿佐ヶ谷の町の人たちの温かいエピソードを読んでいると、ほっこり癒されます。もちろん、芸人さんのエッセイ、ふふっと笑えます。

この本の紹介記事は、こちらから↓↓↓

■次はコレ!この本が好きなら、これも好きなはずシリーズ
『指先からソーダ』山崎ナオコーラ――日常の中の疑問や、気持ちを淡々とつづった、柔らかくて心地の良いエッセイ集
『ひとり暮らし』谷川俊太郎――穏やかな日常をとらえ、淡々と語られるエッセイ集。詩のような言葉の数々がつまった1冊
『わたしの容れもの』角田光代――アラフィフ作家が、歳とともに身体に起きた異変を受け入れて、面白おかしく見つめるエッセイ集

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