コンポストで循環をつくる「たのしい循環生活」理事長”たいら由以子さん”
半径二キロ圏内での循環モデル「ローカル フード サイクリング」を提案されてる”たいら由以子さん”。たいらさんから、土も、生物も、人間も、すべてに対する愛を感じました。なぜ、そのような考え方になったのか、ルーツをお伺いしてきました!
たいら由以子さんのプロフィール
出身地:福岡市
活動地域:福岡および全国、アジア
経歴:
1997年 アメリカNPO研修に行き、その年に東区循環生活研究所設立。
2004年 循環生活研究所でNPO法人格取得
2005年 内閣府事業としてコンポストの人材養成・支援事業開始
2010年 ネパールへコンポストの技術ノウハウ移転事業(国連ハビタットと)
2010年 子ども若者活躍の場プロジェクト(問題を抱える若者の農業活動)
2016年 ローカルフードサイクリング設立
現在の職業および活動:NPO法人循環生活研究所理事長
座右の銘:実践したことのみ伝える
「人が元気になる姿を見ると、やっぱ諦めたくない!って思うんです。」
Q1.どんな心の在り方や認識の変化が今の活躍に繋がっていますか?
たいら由以子さん(以下、たいら 敬称略)
2年間に渡る父の闘病生活により、それまで失っていた「人としての心」を取り戻し、今の活動に繋がっています。
その前の私は、人間として大切なものを失っていました。
バブル崩壊の年に証券会社に入社し、その会社で、営業として5年働きました。お金の価値が急に変わり、好きだったお客さんの態度が簡単に変わるのを何度も見ました。
「お金は人を変えるんだ!」「お金なんて。人なんて。」って、ずっと思っていました。100件の無差別飛び込み営業もやり、お客さんから色々言われ、とても辛かったです。
仕事と日常を割りきり、気づけば感情も切り離すようになっていました。
その後、出産をして、子供が生後3ヶ月の時に、大阪で阪神淡路大震災に会いました。震災では、「人間の力なんて大したこと無い。」「自然には抗えないんだ!」という事を、もの凄く実感しました。
その頃、大好きだった父が癌になり、病院から余命3ヶ月の宣告をされたんです。
本当に信じられなくて、「まさか!!!」って状態でした。
私は「何とか父の余命を伸ばしたい!」と思いますが、どうしていいか分からずに、一ヶ月が過ぎてしまいました。
「父と過ごしたい」という強い想いで関西から引越し看病に専念しました。父と話し合い病院を離れ、最期を自宅での食養生にかけてみることを決意してくれました。この日から母と共に、命のチャレンジが始まりました。
私たちのミッションは父に無農薬野菜を毎日食べさせること。
その日から、無農薬の食材を探すのですが、どこを歩き回っても売ってなく、時には早良区の端の方まで買いに行きました。食材集めから始まり、食事をつくるのに毎日5時間かかりましたが、父が本当に元気になっていくんです。
そのかいもあってか、余命3ヶ月だったはずの父が、なんと2年間も生き延びたんですね!一時期は、癌が消えた事もありました!
「奇跡としか思えない・・・!!」
食の可能性、人間の可能性、そして多くの人から助けてもらった人の温かみを感じ、証券会社時代の5年間で無くした大切なものを取り戻す2年間でした。
私たちは、生きてるでなく生かされてるんだと思いました。生物、土、命は循環して、全てが活かし合い、なにひとつ無駄が無いんです。自分の娘やその子供、更にその子供達が健康に生きるには、暮らしと土、そして人の循環がとても大切だと思いました。
けど、同じ思いを持ってる人との間でも、何かを創り上げようとしたときに、さまざまな問題が生まれ、ひとつの方向性に行くことが難しかったんですね。
そんなときに、「コンポスト」をつかった循環システムを思いつきました。
「これで全部解決できる!」と、感動で何日も眠れませんでした。
記者 凄い感動だったのですね!
たいら そうなんです!その後、母と毎晩色んな事を話しました。そして、どんどん仕組みや教育も開発し、今では年間8万人以上の方々が集って下さる様にまでなりました。
けど、未だに世の中の9割以上の生ごみは焼かれてます。生ごみの中には、枯渇資源の「リン」も含まれています。その生ごみを堆肥に変えれば、とても体に良く、おいしい野菜が育つのに・・・。
焼却システムは本当に手軽で便利。だから変えるのは本当に難しくて、何度も諦めそうになりました。
記者 諦めそうになった時でも、やり続ける事が出来る原動力は何だったのですか??
たいら それは、やっぱり「人」ですね!
そこに人が居てくれたんです。循環に関わってくれる人たちが本当に元気になっていくんですよ。その変化を見ると、「やっぱり諦めたくない!」って思うんです。
記者 ここまで築き上げるのは、本当に大変だったんじゃないですか??
たいら はい。本当に大変でした。20年以上の研究と、20回以上の改善でやっとここまできました。
色んな人に泣きついて、助けてもらいながら、研究会をたちあげてやっとの想いで創ったのが、「ローカル フード サイクリング1号」です。
半径二キロ圏内の循環モデルをどんどん増やして行き、ローカリングサイクル同士も連動し、更に循環し、レボリューションを起こしていきたいです。
Q2.AIが活躍する時代に必要とされるニーズは何だと思いますか?
たいら パソコンや、スマホで、家に居ても、情報は簡単に手に入る時代だと思います。ただ、AIでは、有機的な繋がりはつくれないと思っています。
人間にしか出来ない、有機的な繋がりや循環と、AIがコラボしたら、とても良いと思います。
Q3.どんな美しい時代を創っていきたいですか?
たいら 地域で生活に必要なものが循環し、そのコミュニティによって、若者からお年寄りまでイキイキ活躍する時代だと思います。
コミュニティから、良い食べ物をどんどん生産する事で、消費者の目も変わり、良い商品が売られていきます。
それが広がれば、健康で、おいしいものが、当たり前に食べれる。体も心も健康になっていくと思います。
「循環」って難しいと思うかもしれないですが、コンポストは簡単に取り組めるし、思った以上に楽しいので、ぜひ関わって欲しいと思います!
記者:たいらさんの周りの方たちは、本当にみなさんイキイキとされていて、循環することが、人も、街も、自然も元気になるんだと、とてもワクワクしました!素晴らしいお話を、ありがとうございました!
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たいら由以子さんの活動、連絡については、こちらから
↓↓
HP:
http://www.jun-namaken.com/
SNS:
https://www.facebook.com/yuiko.taira
【編集後記】インタビューの記者を担当した熊倉と岩渕です。
最初にお会いしたときに、日本ミツバチのことを、「本当に可愛いんです。」と、心から愛おしそうに話してくださる姿がとても印象的でした。全てを愛おしく見れて、環境だけでなく人の心に循環をつくられる、たいらさんの心が本当に素敵だと思いました。
貴重なお話を本当にありがとうございました!
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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36
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