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私の朝ごはん 第1166話・5.24

「ふぁあああ!さて今日は何を食べようか」私の朝は早い。まだ暗いうちに目が覚める。わかりやすく言えば地上波のテレビ放送で、放送の配信を停止しているチャンネルが存在するような時間帯だ。

 夜は日付が変わるはるか前に眠るので早寝早起きである。私の性格として朝しっかりとご飯を食べるのだ。午後にお昼を食べるが夜は本当に軽いものしか食べない。ご飯というよりおやつ感覚のものかな。

 それはともかく私は朝食に一番気合が入る。世の中はトースト一枚で済ませたり、朝食そのものを食べなかったりする人もいるそうだけど、私にとってはありえないのだ。

 また私は仕事柄宿泊を伴うことが多い。その時にホテルを利用するが、そのホテルをどこにするのかがポイントだ。普通なら料金やベッド、アメニティの良さ、あるいは駅やバスターミナルからの距離を重視するかもしれない。だが私はすべてに優先して朝食のレベルの良さを重視する。だから結構高めのホテルを利用することが多い。

「今日は、ビュッフェだったわね」私は今回宿泊したホテルは久しぶりに楽しみだった。いくら朝食にこだわっても宿泊する地域のホテルによっては残念な朝食しか出せないようなところもある。過去に宿泊したホテルの中で、昼間はカフェをしているようなところで出す朝食も「とりあえず出している」的なろくでもない朝食を出すところも実際にあった。

 そうなると私は最悪近くのカフェに行って、モーニングサービスを注文することすらある。

 だが今回は多少奮発したが、良いホテルだ。何より朝食がおいしいと評判のホテル。正直前の日の夜から楽しみで仕方がない。食べ放題のビュッフェバイキングで、さらに今日は4つ星クラスのホテルだから、前の日は昼も控えめに、夜は完全に抜いている。
「さあ、食べるわよ」私は別途から起き上がり身支度をととのえると、さっそく朝食用のチケットを片手に朝食会場に向かった。

「うふ、これは楽しみ」私は朝食会場を見ただけで急に食欲がわいてくる。チケットを担当者に渡すと、すでにバイキング用の皿を手にしていた。そしてまずは何が食べられるかを一通り見る。
 それは私の好みの食べ物の有無、それから嫌いな食材の有無を確かめるからだ。さらに最高の朝食タイムにしたいから、用意されている食べ物をどの配分で採るのが良いか、そこまで考える。

「さてと、大体わかったわ」私はこの日の朝食は種類や量の多さにいつも以上にときめいた。本当に少し奮発してでも4つ星クラスのホテルを選んだのは正解だったのだ。本当は5つ星と言いたいところだけど、この街には5つ星クラスのホテルはない。

 こうして私はひとつずつおかずを取る。どれをどれだけとるかについてはすでに頭の中でシミュレーションしているから、効率よくとっていく。このホテルの朝食は種類がとにかく多い。私は一口ずつで収まるようにできるだけ多くの種類の食材を取っていった。和もあれば洋もある。そして中華系の料理もあるのだ。
「やはりもうひとついるわ」私は最初に手にした皿ではとてもではないが、すべてのおかずが取れないと思い、いったん確保していたテーブルに皿を置いてさらに取りに行く。
「スイーツも取らないとね」私は一通りおかずを取った後、次にスイーツを狙う。さすがの私も普段の朝食はスイーツ系は一品あるかないかだ。それがホテルになればフルーツから手の込んだスイーツまでそろい踏みである。もちろん私は片っ端からとっていく。

「あとはドリンクね。私は最初にフレッシュなジュースを選ぶ。それも1種類ではない。ひとつはオレンジのような定番で、もうひとつはひとひねりしたようなさわやかなスイーツを選ぶ。そしてこれはすべてを食べ終わってからの話だけど、最後にコーヒーで〆ることは決まっているのだ。

「さて、いただきます」私のテーブルの周りは、とてもひとりで食べられないのではと思うほどの種類のおかずが並んでいる。
 もちろん私は取ったものを残すような悪いマナーなどしない。しっかり食べられる量しかとらないのだ。見た目と比べて量が少なくなっているし、本当に一口のものばかり。それでもこれだけ取れば最後には満腹になる。ところが面白いことに、そこからスイーツを食べると、本当に別腹できれいに食べられるのだ。スイーツを食べる事にはドリンクもなくなり、ここで私は一度席を立ちコーヒーを入れる。

スイーツも食べ終わり、最後にコーヒーを飲むとき、おなかも満たされた。そしてコーヒーで一気に気持ちがほぐれる。「さて、今日も頑張ろう」と思える瞬間だ。

「だけど」私は食後に部屋に戻ってつぶやいた。なぜならば今日は仕事ではなく休み。だからチェックアウト後は家に帰るだけであることを。

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