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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
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#100日間連続投稿マラソン

ゴールを目指しながら響いてくる声援

「なんで気軽に参加しちゃったのだろう」悟はそうつぶやいた。これはハーフマラソンの最中。目…

走るトラック

「ずいぶん冷えてきたな」直樹は、長距離トラックのドライバーである。彼はちょうど高速道路の…

ハロウィン前の憂鬱

「今年もハロウィンか」10月初旬、フィリピン人のニコール・サントスは、出勤のために店に向か…

The story of a rabbit and a turtle

 ここはある世界のとある場所。はっきり言えることは、種別の違いなく生命体同士の会話が通用…

火星大接近

「おい、真理恵!」「あ、あれ。夢か」私は彼・一郎に起こされた。私はよく夢を見る。だからた…

峠からの夜景に流れる曲

 日本にはいろんな道がある。高速道路や自動車専用道をのぞけば、おそらくもっとも整備してい…

神有月の参拝

「うん、発祥の地で食べるぜんざいは、やはりうまいな」「先生!そろそろ行きましょう。目的が違いますわよ」  自称・歴史研究家の八雲は、助手の女性・出口とともに出雲大社の参道のぜんざい店で休憩していた。  出口は8歳年上の八雲のことを「先生」と呼んでいるが、実はふたりは同棲しているカップルのような間柄。しかし八雲なりのこだわりがあり、外では「先生」と呼ばせていた。そして八雲も「出口さん」と呼ぶ。もちろん出口もそのことは承知しているのである。  この日は、歴史の探訪という「仕事」

越南の書道

こちらの続きのようになっていますが、単独作品です・ ---- 「ホアちゃん!どこに行ったの?…

月を見ながら味わうライスワイン

「圭さん、中秋の名月だよ」日本の伝統行事が大好きなベトナム人ホアが、嬉しそうに部屋から見…

死者との恋愛

 健太郎はひとりでは飲まない酒を静かに飲んでいた。横にはひとり息子の陽太が先に眠っている…

What is a beckoning cat?

「おい、ゴウト! また顔を洗うフリにゃどしおって、まるで招き猫だな」「うるさいにゃ!イマド…

180分の一期一会

「サンジカン ノ コース オススメ デス」とガイドに言われ、車を降りたのは大山達也。彼が…

先祖降臨 #ぐるぐる話(第40話)

 この物語は、tsumuguitoさんの企画しているリレー小説。ぐるぐる話の40話部分です。これまで…

おむすびの中にあるもの

「よし、これで行きましょう」温水美穂はおむすびを完食すると、残った8個のおむすびをラップにくるみ、タッパーに入れた。 「課長、新商品のプレゼン頑張ってください」「大丈夫よ。これなら勝てるはず」  この日、金正物産では新商品に関する社内のプレゼンが行われることになっている。商品開発3課課長の美穂は、本社の会議室に向かった。 「良かった。5分前に到着」入り口でつぶやいた美穂は静かに会議室に入る。そこにはすでにライバルである商品開発1課課長の中山弘樹の姿があった。  中山は、美穂