妻が戻ってきたので星を見た。 第905話・7.17
「五回目で、ようやくお賽銭箱に入った」と、この日の夕暮れ前、婦人会主催の高野山旅行から3日ぶりに帰った妻が、僕の顔を見るなりいきなり叫ぶように呟く。
「帰ってきていきなり何を言っているんだ。せっかく君をもてなそうと頑張っていたのに。だけどごめん。3分クッキングは伸びに伸びたよ」
妻はそれを無視するかのように玄関から中に入ると、大きな荷物を持ったまま、自分の部屋に入った。
入って姿をかくしてから「苦手なものは、イチゴ味のカレー」と、僕にわざと聞こえるように大声で叫ぶ。僕以外