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『HOPE 2020- 変わらない日常と明日への言葉』 著者:ハービー・山口

コロナ渦の中で写真家、ハービー・山口さんが何にカメラを向け、誰に会ってどんな会話をしたのか。とても静かな語り口でフォトエッセイとして記録しています。

写真はもちろん素晴らしいのですが、出会いのひとつひとつをエッセイとして丁寧に描かれていると感心しています。

ハービー・山口さんは、とにかく人に対する興味がある方なんでしょうね。5年前の写真展で少しお話させて頂いたことがあります。わたしがゲーム制作をしていることに興味を持ってくださり、気軽にツーショットを撮ってくださいました。素敵な方です。

全編が素晴らしい内容ですが、特に気に入ったところを厳選して3箇所ご紹介します。

マスクを着けるのが当たり前になると、私の中でマスクの印象はガラリと変わった。魅力的に見え始めたのだった。その理由は目の表情が強くなったからだろう。マスクをしていると、目の表情が俄然生き生きとしてくるのだ。

P.8「マスクが当たり前になった日」より引用しました。さすがの観察眼です。素敵なマスク姿の写真がたくさん載っています。マスク姿はネガティブなものという自分の固定観念を恥ずかしいと思いました。

横顔は、正面の顔のように目や口で表情をコントロールできないから、横顔にこそ、その人の人生が正直に宿っているのではないだろうか。

P.76「ジョン・ライドンとハービー・カミカゼ」から引用です。元セックス・ピストルズのボーカル、ジョン・ライドンとのエピソードなのですが、この写真はP.80に見開きで載っています。圧巻の写真。今まで見た横顔写真のナンバーワンかも。是非、オリジナルプリントも見てみたいものです。

私は写真家であるが、同じ表現者として、私の写真を見た人がこうしてポジティブな気分になってくれたらと強く願うのは当然の成り行きだ。少しでも近づきたいものである。
「人々の心を元気にする」。これがキーワードだ。

最後は、P.142の「自分の心と人の心を元気にできたら」より引用させて頂きました。落語家、志の輔さんとのエピソードですが、この考え方に憧れます。

70歳をすぎても自身の成長と人々の幸せを願う。こんな気持ちを持ち続けることができるんですね。

わたしにとっては、ハービー・山口さんという存在が、いちばんの『HOPE』となりました。感謝です。



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