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#セクシュアリティ
カミングアウトしなければ語れない凡庸さ
時計の針が十二時を回りトイレチェックを済ませると、私の立場はバーテンダーからお客に変わる。終電までの二十分かそこら、先程まで注文を受けていた当のカウンター席に座り、その日客から注文されたカクテルの中で気になったものを自分で頼む。呪文並みに脈絡がなく種類が豊富なカクテルは、実際に飲んで覚えるのが一番手っ取り早いのだ。それに私は、日本の繊細さが遺憾なく発揮された藝術的なカクテルの色が好きだ。五、六時間
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