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ことばたち(詩に舞う)

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私の詩たちが、言葉を寄せあっている場所
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#エッセイ

小説を書くことのなにがむずかしいって、(16)

小説をかくことの
なにがむずかしいって

白に 言葉が 反応しないこと

電子に 文字を 打とうとすると
瞬間に とまる 空間

では 紙に書こうとすると
宇宙は いつも 間に合ってくれない

速記の検定でも とろうかしら?

して、とっても けっきょくは
まにあわないん だけど ね。

あたしと現実みたいなものだから

現実は はやくて
あたしは のろまに 間に合わなくて

現実が足一本 なくし

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【詩】15

新幹線に 乗ると

窓に流されて
ツルツルと しっぽの方へ
すべっていった

ねぇ みて みてママ
きれい

ちいさな子
ひかり しずく
気付き

その瞳に 水を光らせて

となりの母のうなずき
雨とともに 流されたようだ

子は はたと だまりこみ
ほおづえ を つく、

軽やかに踏み出したい
それは
右足かも知れなくて
左足かも知れなくて
右足でなくとも
左足でなくとも
あたしは歩けるんだと
頭に知らしめたい

美しいものがすき
言うなれば
淘汰されすぎていない
美しすぎない
美しいものが

それはまるで
太陽のよう

あなたの感情は
あなたのものなのに
勝手に受けとっては
勝手に傷ついて
まったく
ごめんなさいねと
あやまりたい
気分





(わたしに!)

今ごろに気付いた
春の目覚めが
夜の瞳ほどに 
静かに揺れ続けていたこと