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四月 星繍
2022年8月27日 01:57
刺し違えてでも殺してやりたい過去があるから、生傷の絶えない体に染みるぬるい風。遺影みたいな選挙ポスター、自販機の横に貼られた怪しい広告、ジャンプの新刊で取り戻す曜日感覚、文末にかけて次第に失速する詩。こんなに暑いと煙草も不味くて困る、そんなぼやきも解体現場の騒音に掻き消されて、確かにその時、私は安心したのだ。塗り潰して、重ね書きして。見たくないものの方が明らかに多いから。サマーソニックの投稿ば
2022年7月7日 00:11
想像する。惰性で流れるシネアドが終わり、場内の照明が全て消えて、疎らに聞こえていた会話が静まるあの一瞬。想像する。ケーキに刺さっている蝋燭の火を一気に吹き消して、誰もがそれを固唾を呑んで見守るあの一瞬。想像する。台風が来る前の不穏な空気と、それに比例するように増していく高揚感。消灯時間で真っ暗になる夜行バス。朝日が昇る前の一番濃い夜空。機材チェックが終わって静寂に包まれるライブハウス。
2021年9月1日 22:53
ウォークマンから流れる音楽が全てだった、自転車で行ける半径が世界そのものだった、あの頃に戻りたいなんて思ったこと、今まで一度だってない。ずっと居場所はここじゃなかった。どこに行っても腑に落ちない。どうせ失くすなら、せめて納得できる失くし方を。そういう風に生きてきたはずなのに、今更失ったものの所在が気になる。退屈が理由で飛び出してから、もうそれが癖になってしまっている。幸せも、不幸せも、全部を並列に
2021年8月14日 16:34
私は夜明け頃、一瞬青くなる街が好きだ。古びたコインランドリーの少しカビっぽい匂いが好きだ。昔からある中華屋のよく分からないフィギュアとか好きだし、透明のビニール傘についた水滴も好きだ。お酒なら緑茶割りが、煙草ならハイライトが好きだ。冬の海が好きだ。物語の後書きが好きだ。紙を捲る時の感触が好きだ。タクシーのラジオで流れる、平成初期を感じるJ-POPが好きだ。古本屋で買った本の、誰かの落書きが好き