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011|卒業制作への想い


Quovadis【horse / Frog】|2020
Quovadis【Blossom / Hand】|2020
Quovadis【Elephant / statue of liberty】|2020

Title|Quo vadis
Date Created | 2020
Art Supplies|銅版画・モノタイプ印刷
Size| 544×726mm

Concept|
世界の人々は命が無くなること、物が無くなること、形ないものが無くなることを見て見ぬふり振りをする。
世界の理と割り切り目に見えないものから目を逸らしている。

Explanation| この作品群は銅版画で作成した作品です。 銅版画の技法に関しては、「 04|銅版画の感覚 」をご覧ください。
この作品6つは芸大を卒業するときに必要になる、卒業作品です。普通の大学であれば論文などになりますが、芸大では作品を制作することになります。なのでこの作品は今まで学んだことの総集編になります。
この作品は日々人が当たり前と思っていることに対しての再認識を促す作品です。どのような当たり前か、それは人々が動物に対して行っていることや、自分の前から姿を消した人。自分たちの国は平和。という概念。この3つになります。まとめていうならば全てが少しづつ糸がほぐれて消えていくような状態ということです。初めの作品2つ【 Horse・Frog 】は命の儚さを表しています。皆様は日々動物たちが自分達のために亡くなっていることは知っていると思います。それは大小関係なく失っているのです。現在世間ではヴィーガンと呼ばれるお肉を食べない方が増えています。この方々の中に過激派の方がいますね、最近よくニュースになっていると思います。その方々の気持ちを理解するつもりはありませんが、ただ、実際に牛や豚、鶏や馬など、我々の生活に欠かせない動物たちが日々亡くなっていることは理解しなければいけません。当たり前のように美味しいご飯が食べれたり、ファッションができることなど、我々は何でできているか知っていても、どのようにそこへ運ばれてきているかなど考えもしないのです。そういったことを再認識していただくための作品なのです。
続いて、2枚目の【 Blossom・Hand 】は、身近な人や、恋人を失う情景を表しています。この作品2つに関しては正直私情が入ってはいますが、私以外の方にも通ずる部分でもあると思います。【 Blossom 】のモチーフは枯れた薔薇です。枯れた薔薇の花言葉は「儚い」「つかの間」「私は絶望しています」という悲しい意味があります。また、【 Hand 】には、薬指に指輪が付いています。そう私自身が失恋したのです。正直自分でもイタイことをしたなと思いますが、今までの作品たちは私の歴史でもあるのです。なので後悔はしていません。私がこの作品をいつみてもそのときの悲しさを忘れることがないように、自分に対しての戒めでもあるのです。しかし、皆様も失恋や、大事な人を失ったことは少なからずあると思います。その身近な人を失う悲しさは、時が忘れさせてくれます。勿論存在自体を簡単に忘れることはありません。ただ、その時感じた大きな悲しさは時と共に失われるのです。人間はその、「時」という部分を当たり前と割り切って、考えないようにします。要は物事を忘れていくことは当たり前だと確信しているのです。その当たり前を再認識し、今一度「時」について考えてもらいたいのです。過去にあった大事な感情を忘れていませんか?時のせいにしていませんか?人間は残酷な生き物というのはそういうことだと思います。
最後の2つ【 Elephant / statue of liberty 】は、どちらも形は違えど、平和の象徴なのです。【 Elephant 】はその名の通り象です。今回私は平和の象徴として、象をモチーフに制作しました。国によっては平和以外の象徴とされることもありますが、基本的にマイナスなイメージを植え付けられる生き物ではないと思います。そんな象ですが、昔から象牙を巡って狩りの対象になっているのです。勿論、象の種類にもよります。しかし、そういった人間の行為によって日々平和は失われていくのです。さらに、自由の女神があるアメリカでは現在になって大きな戦争に発展する可能性が出てきています。我々がどうこうできる問題ではありません。しかし、日本だから大丈夫。や、海外のことだし知らない。など、本当はあり得ないのです。自分自身が楽しければ良いという考えが増えている日本では、世界情勢について何も理解していない人が増えつつあります。そんな「平和の国」という概念を当たり前と思っている方に、改めて再認識していただきたいのです。思っているより平和は長くは続かないかもしれないことを。
以上3つの「当たり前」についての再認識を促す作品でした。私自身も当たり前と思って見過ごしていることがきっと沢山あると思います。その当たり前を日々当たり前じゃないという考えにチェンジしながら生きていけると、人生を適当に過ごすことは無くなるかもしれません。これを見ていただいた皆様も、自分の当たり前を再度振り返ってみてはどうでしょうか。持っているモノでも、感じていることでも、なんでも良いです。そこに気付けた時、人間として新しい価値が増えると思いますよ。
ここまでの長文を読んでいただきありがとうございました。
宜しければ次回も一読していただけますと幸いです。
それではまた。

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