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04|銅版画の感覚


Lily | 2019

Title|Lily
Date Created | 2019
Art Supplies|銅版画・エッチング・アクアチント
Size| -

Concept|
キリスト教徒が亡くなった時、花を添えるという。
その全てが真っ白の百合の花で包み込まれ、それはそれは美しい姿で召されていく。美しくも儚い人生の終焉は崇拝してきたイエスのような一生を迎えていく。

Explanation|
銅版画を専攻し、初めて自主制作した銅版画作品です。銅版画とは版画の一つの手法です。
まず初めに銅が腐食しないように、腐食を止める液体を銅でできたプレートに薄く塗っていく。乾いたところにニードルと言われる先が鉄でできた尖った針のようなモノで削っていく。そして腐食液と言われる酸性の強い液体に沈ませ、時間をかけて傷をつけた部分を溶かしていく。
その後腐食を止める液体を拭き、インクをヘラのようなモノでプレートに押し当て、傷をつけ溶かした溝にインクを埋めていく。
そのあとは、紙を銅板に乗せ、プレス機で圧力を掛け転写していく。
この工程自体は人によっては3日〜5日かけて行います。(主に腐食時間)
早く工程を済ませる人は、3〜5時間程度で完成します。
私は3日程度掛かったと思います。この作品は大学に入学して、初めて宗教や、過去の美術の話を聞き制作することになりました。
今まで宗教に興味はなかったものの、美術と宗教というのは強い結びつきがあるように感じ。その中で、私なりのキリストに対しての想いや、亡人に対しての計らいなど、感情にくるものがありました。その中でも、亡くなった人間に対して、花を添えるという行為、ましてや百合の花だけを送るというその行為がとても美しいと思いました。
もちろん私はクリスチャンではないですが、今までの過去の歴史や、宗教上のこだわりなどを聞くことや、学べることはとても幸運なことだと思います。きっと今私たちが生きている時代も、100年、1000年後の人間にとってはかけがえのない歴史として語り継がれていくと思います。そう思うと今の日本は無宗教であり、多宗教の国という異質な国かもしれませんね。
また、そう考えると今日本では自殺が頻繁に起こっています。崇拝する「何か」がない日本だからこそ、道を間違えてしまうことも背景にはあるかもしれません。
これを見てくれている方の中にもし、誤った道を辿ろうと思っている方がいるなら、あなたが大事にしたいことを思い浮かべてみるといいかもしれません。それは家族、友達、恋人、芸能人、自分にとってかけがえのないモノやコト、もしくは自分自身。なんでもいいです。自分が少しでも「好き」と思えるその気持ちを大切にしましょう。
まあ、何様だよって感じですが…
とにかく湿っぽい話は終わりにして、
この作品は命を全うした人間に送られる最高の祝福であり、最後の瞬間を切り取った氷山の一角なのです。皆様も自分なりの解釈や表現を楽しんでみてはいかがでしょうか?芸術は皆様が思っているよりも自由な世界ですよ。
それでは、また。

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