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010|流れる全て


瀧|2020

Title|瀧
Date Created | 2020
Art Supplies|木版画
Size| 297 × 210mm

Concept|
人の手から人の手へ流れるもの。
それは感情や情報、物体のあるもの。全てだ。
しかし人は全ての流れを捉えきれない。指の隙間から滲みながら溢れていくのだ。瀧のような強く流れるそれを全て受け止めるほど人はうまくできていないようだ。

Explanation| この作品は前回同様木版画で作成した作品です。 木版画の技法に関しては、「 07|出会い 」をご覧ください。
前回私が「水になりたい」という趣旨の作品を説明いたしまいた。その頃から私は水をコンセプトに作品を作ることがありました。なのでこちらの作品は水シリーズとしてご覧いただくと幸いです。
この作品を制作している期間。私は他者との関わりが多くなっていました。もちろんそれはとても嬉しいことで、私自身そのおかげで充実した生活ができていたと言っても過言ではありません。しかし、様々な方からの情報や、感情のベクトルが私に向いた時、私は全てを対処する術は持っていませんでした。それは相手に失礼なことだったかもしれません。私は人間関係がとても難しく感じました。なので、極力関わりやすい方を中心に絞り、人との関わりを狭くしました。言葉として最適かどうかはわかりません。自分にとってメリットの無い方は自分の人生において必要がないという考え方をしました。メリットというと都合が良いように感じますが、目に見えて良いことをしてもらえる人という訳ではありません。例えば、ただ会話しているだけで楽しかったり面白かったりする人。または、自分と感性が似ており、同じ目線で会話ができる人、知らない情報を共有できる人。様々です。そんなメリットですが、全てに共通点があると思います。それは価値観の提供です。面白い話で言うならば喋り方や、話の組み立て方。感性の話でいうならば、視点がさらに磨かれ養われていく観察力。知らない情報の共有は単純な成長。全ては自分ではない人からの価値観の提供です。また、日頃から気にして人と接している訳ではありませんが、長く付き合っていくとわかることもあります。それは向上心です。簡単にいうと、先週話した話題を今日も話している人。こういう人は単純に新しい情報をインプットできていない状態です。その為会話のレパートリーが少ないのです。わかりやすく先週という言葉を使いましたが、これは年単位でも言えることです。そういう人は基本的に自ら行動を起こさず、ただ流れてくる情報だけで生活している人です。ただ流れてくる情報は誰もが知っている情報です。この背景を理解している人と、理解していない人とでは、考え方や生き方が圧倒的に違います。それは、同じ年数を生きている人同士で抱えている情報量の差がとても大きいことです。これを見てくれている方にも感じたことがあるかもしれませんが、なぜか同級生なのに会話が通じなかったり、相手の言っていることがとてもバカらしくなる瞬間。これは圧倒的に今まで生きてきた中での情報量の欠損です。これが人間の『価値観』という部分を形成しているのです。我々はそのような価値観を得られる環境で生活しています。中にはそう言った価値観を得られない環境におかれた人も少なからず存在すると思いますが、私の身の周りではそう言った環境の方はいませんでした。にも関わらず価値観が合わない人、というのは得てきた情報の違いや、量に問題があるのです。しかし問題はそこではありません。価値観が合わないからダメということではなく、自分の中に新しい価値観を作ることが大切になります。この人はこんなことも知らないのかとバカにするのではなく、知らない人もいるということを理解する必要があるのです。ただ、自分にとって理解する必要のない価値観も存在します。その価値観は人それぞれ取捨選択していくのです。自分にとってこの『価値観』という部分で関わる人間を決めているのです。そのような背景を持って制作した作品が今回の「瀧」という作品になります。
皆様も価値観を自分の中に増やして、新しい視点を増やしてみてはどうでしょうか?ある程度のことは冷静に対応できるようになると思いますよ。
それではまた。


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