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ゴールデンレトリバーは呪いをかけない

モヤモヤ企画に2つ目のモヤモヤが寄せられました。

虹倉きりさん、コメントありがとうございます。

今回、このモヤモヤに僕もかなりモヤモヤしたので、僕の思考をそのままつぶやいていく形で述べてみたいと思います。

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まず、このコメントを隅々まで繰り返し読んで考えたことです。

「同じ世界」とはどこだろう。「過去にやり合った」って、何があったんだろう。

もう一度話し合うつもりもなく、振り切るつもりでいる(と書いている)なら、仲直りは別に求めていないんだよな。ということは、相手を嫌いになりたいのか。忘れたいのか。それは違うような気もする。自分の中でも、それはなんか悲しい。

今の虹倉さんの心には、解決しないと気が重いけど、これをすんなり解決すると人としてなんだかダメな気がしてしまう、みたいな感覚があるのだろうか…。

それなら自分にもあるし、多少言えることがあるかも…?

でも、詳しい事情がわからないので、下手なことは言えない…。

どうしよう。

こんな感じであれこれ悩んでいましたが、思い切って書くことにしました。

僕なりの似たようなしんどいモヤモヤへの対処法を書いてみようかと思います。

似たようなモヤモヤ

僕も、絶縁ではないものの「今後深く付き合っていたくない」という宣言をされたことがあります。

僕は相手に強制はしないものの、自分の気持ちや考え、願望や希望を割と率直に伝えるタイプ。

相手は、自分の願望を言うのにためらいがあり、汲み取ってもらいたいタイプ。お願いされたら断れない人でもありました。

このようにお互いのコミュニケーションスタイルが違っており、そのために意見が食い違うことがあり、何度か言い合いになったものの、その時までは仲直りしてきました。

だから、虹倉さんと同じく宣言された時はショック。

でも、もう一度話し合うのはよろしくないような気がして距離をおこうとした(僕は失敗しました)。

書かれていることだけ見れば、似ているのではないでしょうか。

というわけで、その後どのように考えたかをこのあと書いてみます。

思いつくだけ考える

距離を置く方がいいとは判断しているわけなので、思考によって自分を落ち着けるしかありません。

ただ、別のことに没頭するとか、忘れるとか、そんな器用なことは難しいので僕は正面からぶつかっていくことにしました。

まず、ひとりになれるまとまった時間をとって、とことん考えます。2時間くらい。

何を考えるか?

相手のやり方が、理にかなっていて・人としてかっこよくて・優しい動機や致し方ない背景から来ているものであると設定して、思いつくだけ物語のパターンを考えます。できればメモしましょう。忘れるので。

自分のものはすでに考えているでしょうし、一つ思いつくたびに反論してしまいたくなって出てくるので大丈夫です。ただし、この段階では反論しようとする自分を「後でね」となだめます。

例えば、先程の僕の問題に対し、一つのパターンとしてこう考えました。

自分を信じてくれている相手に願望や主義を伝えるのはある種の呪いだ。だって、叶えたくなるに決まっているし、合わせてあげたくなってしまう。叶えられなかったらごめんなって思っちゃう。「僕に何ができる?」なんて聞いてくる相手にお願いしたら余計その呪いを強めてしまうじゃないか。

別にこれが正しいかはわかりません。ただ、完全に否定はできないような気がする。こういうのをたくさん考えます。

2つくらい出したところで詰まってしまったら、こう考えます。

「私はかなり今の自分の考えにしばられているんだな。どんなことを前提に考えているんだろう?」

「相手の考えや背景は完全には見えないのだから、推測の余地はほとんど無限のはず。なのに2つしか出てこないわけがない。他にどんなパターンが考えられるだろう?」

泣きながらでも、胸が痛みながらでもいいので、ひたすらにパターンを考えます。途中から悲しいことを忘れて、思考ゲームに集中し、真剣になってきます。

おそらく、だいたい10以上考えたら疲れてくるかと思います。

自分はどうしたいかを感じる

まだまだ行きます。

今度は、自分が相手にどうしたいと思っているかを感じ取りましょう。

やり方は簡単。

「あいつなんか消えてしまえばいい」「こっちから願い下げだ。二度と会うもんか」と言ってみてください。

その時、心にどれくらいひっかかりがあるかを感じます。

苦しいほど引っ掛かりがあるのであれば、自分は相手を忘れたくもなければ、いじめたくもないんだなと考えて良いと思います。

ひっかかりが少ないのであれば、時が経てば解決するでしょう。

僕は尋常じゃなくひっかかりがあったので、相手と上手く付き合っていくには、という方向性で考えることにしました。

何が自分をそうさせたのか考える

解釈にたくさんのパターンが見えて、今自分が相手をどう思っているかもわかった。

ここまで来たら、自然にこれまで付き合ってきた中では思いつきもしなかった対処の仕方が無数に見えてきます。

あるいは、対処の仕方が同じでも、どのような気持ちで、どう考えてそうするのかが変わってくるのに気づくのではないでしょうか。

たくさんの対処の仕方が見えた上で、対立した時のことを振り返り、なぜ自分はあの時あの選択をしたのかと考えましょう。

この時、自分を責めるのではなく、自分が何を大事にしていたからそのやり方を選んだのかと考えます。

僕は、言葉にすることを大事にしていました。言わない方が良さそうと思うこともなんとか言葉を工夫して言おうとしてしまうくらい。

気持ちは言葉にしても伝わらないことばかりだけど、言葉にしないと何も伝わらないだろうと考えていたんですね。

ここまで考えたら、疑っていきます。

でも、ほんとにそうか?

そう問いかけて、連想を広げます。

亡くなる母が未来の息子に宛てるビデオレター

でも、ほんとにそうか?

と考えた時に真っ先に浮かんだのが、もうすぐ死んでしまいそうな母親が今は3歳くらいの息子にビデオレターを送る様子でした。

8歳になった〇〇へ。N歳になった〇〇へ。とそれぞれの年齢ごとの〇〇くんに当てたビデオメッセージをしゃべるやつです。ドラマとかでありますよね。

なんで目の前にいる3歳の息子に言えばいいのに、わざわざビデオに残すんでしょう?なぜ、わざわざ年齢ごとに1本ずつ撮るのでしょう?

言葉は、相手の時期に合わせ、意味あるタイミングで伝える必要があります。ビデオを〇〇くんが見るときっていうのは、〇〇くんが話を聞こうとしている時だし、記録だから、自分がどう反応しても相手に影響しないという安心感があったのかもしれません。


ペット、特に大型犬に癒されるのも連想しました。

犬はしゃべりません。でも、ただあったかくて、そこにいる。必ず死ぬまで自分を裏切らないだろうという信頼がある。

落ち込んでいる人、落ち着きたい人相手なら、ペラペラしゃべる自分よりも、ゴールデンレトリバーの方が遥かに力になれるでしょう。完敗です。

少し前に考えた、願望や主張は呪いになるというの合わせて考えるなら、ゴールデンレトリバーは呪いをかけないのです。

超克

自分の中で、相手のアプローチがかなり説得力のある主張となってきました。でも、まだ自分の中にそれでも私には私のやり方がと主張する声があります。

こういう場合には私のやり方が必要なはずだ、なのか、いやそれでもどんな時も私のやり方で私はやるなのかわかりませんが、そこであれこれ出てくるのが自分の底にある本音かなと思います。

たぶん、それはもう無条件に信じていることで、変えられない性質。

そのやり方が人を傷つける場合があること、ゴールデンレトリバーにも歯が立たない場合があることを、もう自分は知ってしまっている。

それでも変えられないのだから、そのために引き受ける苦しみは自分の人生についた特典だと思うしかありません。濃いブラックコーヒーの苦味を味わうように受け止めるしかない。「今度のはちょっと苦すぎたかな、フッ」と。

最後に反省を

結局、虹倉さんの話をそばに置いて、ほとんど自分の悩みをどうしたかの話しか書いてきませんでした。すみません。

一言でまとめるなら、
「自分の否定できないことが引き起こす災いを自覚して引き受ける覚悟をする」になるでしょうか。

なかなかしんどい結論になりました。

これが大人になるってことなんでしょうか。何かこの苦痛を表現する術を持っていないと引き受けきれなさそうです。

というわけで、こんな記事がおすすめです。

今回のモヤモヤ、かなりモヤモヤ考えさせられました。ありがとうございます。

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